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携帯普及率20%のミャンマーに進出したKDDIに現地で直撃!

2014年12月04日 12時00分更新

文● 中山智

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ミャンマーでは毎日が新しいことの連続

――KDDIが参入してから数ヶ月がたったわけですが国としての印象は?

 想像していた以上にチャレンジングな市場ですね(笑)。毎日2個3個新しいことが起こります。覚悟はしてきたのですが、いろいろなことが突然決まる。つねに臨戦態勢でいないとダメです。

――苦労している点は?

 すべてにおいて制度が決まっていなくて、時間がかることです。たとえば街中の電柱がケーブルだらけですごいことになっている。これはMPTにとっても大問題で、MPTが所有している電柱でも、MPT以外の線を勝手につなげて酷い工事をしている。

街中の電線の様子。ケーブルがゴチャゴチャと絡まっている

 日本では電柱の使用のルールがあって、高さによってケーブルの種類などが決まっています。ところがミャンマーにはルールがない。これはMPTだけでちゃんとやろうとしてもできない問題です。電柱が倒れそうになっているのでどうするのかって聞いたら、「全部切っちゃえ」って(笑)。

――ルールがまったくないのですね。

 先ほどのマネートランスファーもそうですし、MVNOなどの話もあるのですが、あるサービスをするときに、どういう免許が必要でどこが許可するといったことも決まっていない。ルールの決め方もわからない。

――公的機関の動きも遅いのですか?

 国の機関が動いてくれないことはないです。書類などを提出すれば。ただ、そもそも紙ベースなのと、ヤンゴンはあくまで商業都市で首都はネピドーです。そのためヤンゴンで申請を提出してもそこで止ってしまうことも。郵便も日本郵便が提携してだいぶ改善されましたが、それまでは到達率が50%。自分でネピドーまで持っていくしかない。

――オンライン化はまだまだなんですね。

 役所や企業でもパソコンの導入は遅れていますね。仮にあっても、スタンドアローンだったり。書類の制作はタイプライターならまだ良いほうで、手書きの書類というのがほとんどです。ただ、単純にオンライン化しましょうと仕組みは作っても、ソフトウェア、人間の教育も必要になってくる。パソコンや端末の使い方もレクチャーしていく必要がでてきます。

 ただ、もともと東南アジアの中でもかなり進んだ教育環境のある国だったので、識字率はすごく高いです。KDDIのミャンマーでの役割は、固定回線の普及も含まれているのですが、通信設備などの社会インフラが整えば、こういった状況も改善されていくと思います。

ミャンマーでの役割は
サービスや品質の改善でKDDIの経験を伝える

――ミャンマーでは今後どういった活動になりますか?

 この国では日本は好印象で受け入れられています。一番はアメリカのようですが、日本のブランド力も高い。ただそれ以上にミャンマーの国民は、自国が大好きです。MPTは国の事業体ですから、ミャンマーが持っている力をサポートして伸ばしていく方がいいのではと思っています。

――日本らしさ、KDDIらしさを出すとしたら?

 ミャンマーにはまだまだカスタマーサービス、サポートという概念が根付いていません。たとえば銀行口座やクレジットカードが普及していないので、利用料金は窓口で現金払い。それも平日の数時間といった具合に窓口のオープン時間も短い。

 KDDIは「お客様第一主義」をモットーにしています。そこで窓口対応などでも、より丁寧な対応をすることで、もっとMPTを使ってくれるユーザーが増えるはずです。さらに品質をアップさせればもっと使ってくれる。KDDIのこれまでの運営の仕方を注入してあげるだけで、競争力がついていくのではと考えています。

これからの発展に期待できる、エネルギーに溢れているヤンゴン市内


 以上がKSGM長島氏に聞いた、ミャンマーの現状だ。筆者は2年前にもヤンゴンを訪れているが、その発展のスピードは実際に肌で感じ取れるぐらい。このミャンマーの猛スピードの発展のなかで、KDDIの力がどれだけ発揮できるか期待して注目していきたい。


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