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北フランスが欧州「ITデジタル産業の拠点」になる!?

2014年12月13日 12時00分更新

文● 飯島恵里子/ASCII.jp編集部

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フランス人はアンチデジタルではない!? ARを駆使する広告代理店

Idees-3Comが手がけたAR広告事例。食品チラシの特売情報をスマホ等で撮影すると、レシピを参照できる

 遠く離れた日本からのステレオイメージでは、フランス人は保守でデジタル嫌いとの見方もあるが、実際のところはどうなのか。ITマルチメディアと日常生活を結びつけている、広告代理店Idees-3ComのJean-Michel Flamentさんいわく「利用ユーザーの年齢やITスキルの有無などはそれほど重要視する問題ではない。いまフランスではiPhoneはITスキルの高い人だけが使用する端末ではなく、年齢を問わず広く利用されています。我々のサービスはiPhoneを普段使う人であれば、誰でも問題なく楽しんでいただけます」。

ARをイベント・キャンペーンに利用した事例。バッヂを撮影するとARでマークがでる

 フランスではiPhoneやスマホは、ギークだけのものではなく、誰もが利用する一般的な端末という位置づけ。Idees-3Comでは、スーパーのチラシにARを利用し、食品のレシピを表示させたり、ショッピングモールでのイベント等、日常生活に密着した場面で多用している。

 Idees-3Comは、ユーザーにデジタルを意識させずにサービスを利用できるようなスキームに注意を払っているという。スーパーのチラシにARを使用する際は、特別なARマーカーを掲載するのではなくチラシの対象商品の写真そのものがマーカーとなるように、データーベースには100万イメージを登録済み。60〜70%の情報を認識すればARマーカーとしての機能を果たすという。

ユーザーの足元の位置表示をARのマーカーとして利用


 「イノベーション+教育+ユーザーがシンプルで使える=エモーション溢れる広告戦略になる」とIdees-3ComのJeanさんは話したが、北フランスにおけるITマルチメディアとの距離感をも表している。

 声高にデジタルを叫ぶのではなく、最新技術であれ一般生活に浸透するような使い方に落とし込み、また一部の特別なスキルを持った人だけが従事するような業種ではなく、多くの人が産業として関われるように学校教育から起業支援など、地域を上げて行政がサポートしていく体制。

 ITを特別なギークだけものではなく一般的な利用手段・スキルにしようとしている北フランス地方のアプローチは、今後さらにシリコンバレーとは異なったアイデアやサービスが生まれる可能性を秘めている。


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