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アルミの静かな光沢と革のツヤが最高だ! が、音は? 装着感は?

羊革×アルミのクラシック感、仏製ヘッドフォン「VK-1」ってどう?

2014年12月02日 18時00分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

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側圧はそれほど強くない。

付け心地は、なんと手で曲げて調整!

ヘッドバンドを曲げて側圧を調整してくれという注意書き。

 面白いのは、「側圧は、各自ヘッドバンドを曲げて調整してくれ」という内容の注意書きが入っていること。マンガン鋼とシリコンのクッションを合わせたものに革を巻いただけの単純な構造ゆえに実現できることだ。マンガン鋼はかなりの弾性があってクセ付けするのもなかなか大変だが、一度形状を定着させてしまえばなかなか戻りにくいとも言える(今回は広報用の試用品のため調整はひかえた)。そんなわけで、アラウンドイヤーのヘッドフォンや、全方向にハウジングが稼動する「MOMENTUM」のようにぴったりと耳に沿う装着感を得るのは難しいかもしれないが、付け心地に関してはある程度融通が利く製品だ。

 何も手を加えていない状態では、側圧はあまり強くない印象。装着感はそれほど快適ではないと感じた。しかし、編集部で何人かに試着を求めると、人によってかなり感想が異なった。頭蓋の大きさや形状、耳の位置や向きで評価が分かれる部分なのだろう。「オーナーが手で曲げて調整する」というのにも納得。

チタンドライバーで高域描写に特徴

ハウジング側面にポートがあり、低域のこもりを抑制している。こんなに派手に空いているが音漏れはかなり少なめ。

 そして肝心の音質。「デザイン重視で音質はほどほどでしょ?」という気持ちで聴くと、解像度の高さや、意外にも広く感じられる音場感に驚くかもしれない。ドライバーはチタン製。高域の描写はかなり得意な印象だ。特に細かく刻まれた金物の響きや余韻などは繊細に表現してくれる。男性がボーカルをとる曲だと、ミックスによっては声に少しこもりを感じるかもしれない。

 また低域も量感があって迫力も感じやすいが、HD25(オリジナル)と聴き比べてみると、HD25がバスドラムやロータムを密度のある圧と輪郭で再現するのに対し、VK-1は、少し輪郭がぼやけて、低域の他の成分と一緒になっている印象。どちらかというと楽器各々の音を細かく聴いていくというよりも、音の広がりや、女性ボーカル、管弦楽器の伸びやかさを楽しめるタイプのヘッドフォンだと感じた。デザインだけでなく、音にも気を遣って作られたヘッドフォンだということは確かだ。ちなみにインピーダンスは32Ω。DAPに直差しでも音量は十分にとれる。

見た目に強くひかれたら、買ってもいいかも!

箱への収め方もしゃれている。

 やはりVK-1最大の魅力はレトロで、クラシックな外観。ひかれる人は強烈にひかれるデザインだと思うので、「こんな見た目のヘッドフォンが欲しかった!」と感じたならば、細かいことは置いておいて、購入してしまうのもいいかも。「なんだ見た目だけじゃん、がっかり」ということはないと思う。というか、この見た目に強くひかれたならば、細かいことは許容できてしまう……気がする。

この手作り感、気に入る人は気に入るし嫌な人は嫌な部分だと思う。

 ちなみにモダニティが取扱いを始めるまでは一部オーディオ専門店やe☆イヤホンでも取扱いがあったようだが、今のところ国内店頭での取扱いは、バーニーズ・ニューヨーク 銀座、BALS TOKYO NAKAMEGURO、AGITO 六本木(なるほど!)とTSUTAYA 六本木のみとのこと。ただ、少数生産品なので国内入荷数も限られており、現時点では店頭に出向けば必ず手に入るとも言えないようだ。そんな希少感も製品に合っていると思う。いいマテリアルでできている、しゃれていて、長く使えそうで、外で使えて、軽い。ありそうで意外に少ないそんなヘッドフォンを探しているなら、VK-1、どうだろう?

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