キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は11月26日、「ESET セキュリティ ソフトウェア シリーズ」のWindowsクライアント向け最新バージョン(バージョン8)製品群を、12月11日から提供開始すると発表した。ボットネットとの通信をブロックする機能が追加されたほか、ソフトウェアの脆弱性対策機能もさらに強化されている。発表会では国内における販売戦略も明らかにされた。
新バージョンが発表されたのは、個人向け2製品「ESET ファミリー セキュリティ」「ESET パーソナル セキュリティ」と、小規模法人(SOHO)向け「ESET オフィス セキュリティ」「ESET NOD32 アンチウイルス」の4製品。すでに各製品を利用中のユーザーも、無償で最新バージョンへの更新ができる。
バージョン8では、まず脆弱性対策機能「エクスプロイト ブロッカー」が強化され、従来のWebブラウザ、PDFリーダー、Microsoft Officeコンポーネントなどに加えて、新たにJavaの脆弱性を狙った攻撃にも対応した。同機能はマシンで実行中のプロセスの振る舞いを監視、分析して、不正な動きを検知するもの。
また新たな防御機能として、パーソナルファイアウォールを利用してボットネットのC&Cサーバー(指令サーバー)との通信を検知、ブロックする「ボットネット プロテクション」機能が追加された(NOD32 アンチウイルスを除く)。ESETが保有するボットネットのブラックリスト(IPアドレスなど)や、そうした通信特有のプロトコルなどから不正な通信を割り出し、通信の遮断や原因となっている不正なプロセスの停止などを行う仕組み。
各製品の対応OSは、Windows 8.1/8/7/Vista/XP/XP x64 Edition。個人/SOHO向け製品のため、各EnterpriseエディションとWindows RTは非対応としている。
「顧客満足度」を重視、堅調なシェア拡大で日本市場では4位に
記者発表会には、ESET CRO(ウイルスラボ責任者)のユライ・マルホ氏、ESETアジア セールス・ディレクターのパーヴィンダー・ワリア氏、キヤノンITS 執行役員 プロダクトソリューション事業本部 セキュリティソリューション事業部長の近藤伸也氏が出席した。キヤノンITSは2003年からESETセキュリティ製品の国内総販売代理店を務める。
ワリア氏は、アジア太平洋地域(APAC)におけるエンドポイントセキュリティ市場(約17億ドル)のおよそ半分は日本が占めており、今後も年率4%程度の成長率で拡大していくとするIDCのデータを示した。「ESETとしても引き続き日本市場にフォーカスし、製品やサービスの提供に注力していく考えだ」(同氏)。
さらに、IDCの調査では日本市場におけるシェアを毎年拡大しており、2013年にはTrendMicro、Symantec、Intel(McAfee)に次ぐシェア4位(5.7%)のポジションを獲得したと紹介した。「今後もシェア拡大を続け、日本市場でも、世界市場でもトップ3入りを果たしたい」(ワリア氏)。
また、キヤノンITSの近藤氏によれば、同社のESETビジネス(全製品売上)は過去5年間平均で15%の伸びを見せており、市場平均である4%弱の成長を大きく上回っていると紹介した。「(エンドポイントセキュリティという)成熟市場の中で、強い成長となっている。最近では“指名買い”も見られ、少しずつESETブランドが浸透してきたかなと思っている」(同氏)。
今回発表された新バージョンのESET セキュリティ製品について近藤氏は、事前モニター版プログラムのユーザー評価で「動作の軽さ」「総合評価」とも9割以上の満足度が得られていると紹介。今後も「高い顧客満足度を最大限に生かす」ことを基本的な販売戦略として、ESET製品のファンやリピーターを増やすことで、地道にユーザーベースを拡大していく方針だと説明した。
そうした施策として、キヤノンITSではセキュリティ情報サイトの開設、個人市場向けに専用サイト「CLUB ESET」やQ&Aコミュニティの立ち上げ、法人市場向けにゲートウェイセキュリティ製品の投入やパートナープログラムの拡充などの取り組みを行っていると、近藤氏は語った。
またESET CROのマルホ氏は、最近のセキュリティ脅威の状況や、ESET製品に対する独立調査機関の評価、新バージョンが備える技術などを紹介した。ESET製品はAV Comparative、VB100といった独立調査機関から高い評価を受けているが、マルホ氏は「こうした評価も大切だが、最も大切なのはユーザーの満足度だ」と述べ、軽快な動作や誤検知の少なさといったESET製品の特徴をあらためてアピールした。