知らないうちに違法な画像をリツイートさせられる危険性も
三上氏は今回の件を踏まえて、SNSの仕組みによって、関係のない人が罪に問われてしまう可能性を指摘。「リツイートしただけで罪に問われるという事態」を悪用する2つのパターンを警戒する。
三上 「1つはSNSと連携するアプリを利用して、勝手に違法な画像をリツイートさせられてしまう可能性。SNSによっては、アプリ・ウェブサービスから投稿したい場合などに、該当SNSとの連携をユーザーに許可させる必要があります。この仕組みを利用して、まったく関係なさそうなアプリやサービスに見せかけ、連携を許可した人に、違法な画像をリツイートさせてしまうのです。
もう1つは後から写真をすり替える手口です。まず、外部サービスで普通の写真を投稿する。それがリツイートされたあとに、同じURLのまま、違法な画像にすり替えておく。すると、そのつもりはなくても、リツイート人が画像を再投稿したことになってしまうのです」
リツイートは必ずしも「投稿への同意」を表わすわけではない
ただ、SNSを利用したことがある人なら、リツイートは単純に再投稿なのだろうか……という疑問も浮かんでくるのではないだろうか。三上氏は「SNSの実情を考えてみてほしい」として、以下のように指摘する。
三上 「リツイートは、必ずしもそれを再投稿する意志だけでやる行為ではありません。私も他人の投稿を見て、『この意見は面白いな』とメモ代わりにリツイートするときもあれば、『このツイートは何かおかしいぞ』という意図でリツイートするときもあります。
たとえば誰かのツイートを私がリツイートしたとして、投稿した主体は誰なのかということを考えてみると、安易にリツイート=再投稿とはなかなか言いづらい面もあるでしょう。
さらにいえば、誰かの投稿を『お気に入り』に入れる機能は再投稿とみなされるのか、違法な画像と判断されかねない写真の投稿をお気に入りにしたとすれば、それは外部から見ることができる。しかし、これはアウトなのか……など、判断がなかなか難しいパターンもありえるでしょう」
三上 「ともかく、ユーザーレベルで気をつけるポイントを挙げるとすれば、やはり、リツイートは再投稿であるという前例ができたこと。リツイートはクリックやタップひとつで手軽にできますが、違法な画像をリツイートした場合には、自分も罪に問われることを忘れてはいけません。
また、直接関係はありませんが……私も経験があるのですが、極端な意見をリツイートしたときに、自分としてはあくまでメモ程度のつもりでも、『あなたも同じ意見なのか?』と意図を誤解されて伝わることもある。いずれにせよ、リツイートは慎重に行なったほうがいいかもしれないですね」
SNSのような新しい技術には、現状の法解釈だけでは実情に沿った対応が難しい面もある。SNSが利用されている実情にあわせたガイドラインの成立が望まれる、と三上氏は語る。
三上 「どの機関が出すかにもよるのですが、明確なガイドラインはハッキリ作ってほしいと個人的には思っています。たとえば、リツイートはダメだがお気に入りはOK、といったように。そうすれば、警察もそれに沿った対応が可能になるでしょう」
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