NASA(米航空宇宙局)は11月25日(米時間)、国際宇宙ステーションで3Dプリンターが稼働したと発表した。
3Dプリンターは3Dプリンター製造メーカーの協力とともにシリコンバレーのチームが製作。ドラゴン宇宙船で9月に打ち上げられたもので、11月17日に設置して校正出力ののち正式に稼働を始めた。樹脂のフィラメントを加熱して積層成形するタイプで、基本的に制御は地上から行われ、ISSクルーの時間を取らないようにしているという。
NASAでは、実証実験がうまくゆけば、ISSへの交換・補修部品の供給として活用できるものになると期待している。現状のところ製作できるのは、プラスチック成形品に限られる。だが、2008年にトイレが故障したときのように、ISSでは空調や上下水の配管が故障しただけで窮地に陥ってしまう。現状のシステムでも、バルブやホースジョイント、スイッチトグルなど活用できそうだ。
なお、今回はあくまで3Dプリンターが宇宙で使えるかどうかという実証実験。製作物は2015年に地球に戻され、微小重量化における影響があるかどうか比較検査が行われる予定という。
NASAでは将来、火星や小惑星で働く宇宙探査機は3Dプリンターを使って自分と同じものを作れる機械(自己複製機械:フォン・ノイマン・マシン)が活躍すると考えており、これはその第一歩としている。