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11acルーターがほしい! 教えて中の人!! Atermマニアックス

2014年12月04日 11時00分更新

文● 高橋量

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スマホ同様、イマドキの11acルーターはアンテナ内蔵タイプ

──見たところ非常にスッキリしたデザインですが、アンテナを内蔵しているんですよね? アンテナ内蔵だと、電波の届き具合が変わってくるのでしょうか?

杉浦 この点については、様々な声があることは承知しております。「Atermシリーズはアンテナがないから電波が届かないんじゃないか(笑)」というご不安があるようですが、非常に高性能なアンテナを内蔵しておりますので、その点についてはご心配の必要はありません。

 外付けアンテナを搭載している場合と比べて同等、あるいはそれ以上の性能が出るように設計し、検証で確認しておりますので、安心して使っていただければと思います。アンテナ内蔵は、Atermシリーズのアイデンティティとして非常にこだわっているところです。

 携帯電話をイメージしていただければわかりやすいと思うんですけど、古い携帯電話では通話のためのアンテナが出ていましたが、最近はまったく出ていませんよね。スマートフォンについても同様です。そこから考えると、「アンテナが出ていないほうが最新である」と言えるんじゃないかと(笑)。

杉浦氏によると「アンテナを内蔵しているほうが、今風で“新しい”」

ふたつの先端技術で小型化、
アンテナなしで高速・安定通信を実現

──Atermシリーズの11ac対応Wi-Fiルーターで使われている小型化の技術について教えてもらえますか?

杉浦 重要な要素はふたつありまして、まずそのひとつが「μSRアンテナ」(マイクロSRアンテナ)という技術です。これは米粒ほどのごく小さなサイズにもかかかわらず非常に高性能で、かつ基板にパターン印刷できることからアンテナの設置スペースを抑えられるというメリットもあります。このμSRアンテナを使うことで、それまでアンテナのために使っていた基板上のスペースを88%減らすことができました。

「AtermWG1800HP2」で使われている基板(写真左)

従来のWi-Fiルーターで使われていた基板(写真右)。従来モデルでは、基板上にF字状のアンテナを配置。ノイズの影響を減らすために、アンテナ周辺には回路ない余白を用意する必要があった。この基板ではさらに小さな板状の外付けアンテナも使用されている

基板の端に配置された米粒程度の大きさの「μSRアンテナ」。上にある四角がふたつ並んだような部分が2.4GHz向けのアンテナで、少し離れて下側にある四角ひとつが5GHz向け

 もうひとつが「μEBG」(マイクロEBG)と呼ばれるノイズ対策のための技術です。基板上のデジタル回路から発生するノイズはアンテナに影響を及ぼすのですが、この技術によりごく小さなパターンでノイズを低減できます。基板上にはいくつか見える程度ですが、基板は多層構造になっていて、その中に多くのパターンが打ち込まれているんですよ。

写真中央部にある渦巻き状のものが「μEBG」。線の長さを調整することで、ノイズを抑える周波数を変更できるという

 通常は基板上にノイズカット用の部品を配置していくのでどうしても基板自体が大きくなるんですが、AtermシリーズはμEBGによって小さくできるというわけです。ちなみにこの技術は、NEC東芝スペースシステムという会社が開発した人工衛星用のGPS受信機にも使われているんですよ。宇宙で使われているアンテナ技術をユーザーの皆さんにお届けする形で、高速で安定した通信を実現しているわけですね。NECが持つこのふたつの先端技術により、Wi-Fiルーターの大幅な小型化を実現できました。

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