グラフィックス性能以外は良好
本当は分解したかったのだが、どうやら内部からツメでしっかりとホールドされているようで、確実に破損しそうだった。そのため、内部チェックは諦めてさっさとベンチマークに入る。
当然ながら基板だけに用事があるという読者もいるハズ。そういった場合は、元に戻せないことと、保証対象外になることを覚悟のうえ実行してもらいたい。まぁそういった読者の場合、そのあたりはオールOKな人たちばかりだと思うが。自腹で購入した際にはぜひ分解したいところだ。
さて単体運用するよりは、既存環境に組み込んでの運用が多いだろう。ストレージから見ると、初回起動直後の状態でストレージの空き容量はZBOX PI321 picoの場合で49.5GB。よく使用するアプリケーションをインストールしておくには十分なストレージ容量だ。
そうなると気になるストレージの性能だが、下の画像のように読み込みについては申し分のないものとなっている。やや書き込みが遅いのだが、頻繁に書き込む運用はあまりない現実的ではないため、問題ナシと判断してもいいだろう。
ついでにmicroSDカードスロットでも計測してみたが、読み書きともに23MB/sとやや性能の低いパーツが採用されていた。
といっても、microSDカードを多用することはいまのところそうないため、ときどきスマホのデータをバックアップしたいときに使用するくらいだろうか。スペース的にmicroSDカードスロットになってしまったと思われるが、できればSDカードスロットを採用してほしかった。
次にWindowsエクスペリエンスインデックス。Windows 8.1からは隠し機能となっているため、同機能を使用できるフリーソフト「WIN SOCRE SHARE」で計測した。
トータルスコアは3.1で、グラフィックスがもっとも低い結果となった。プロセッサーは5.7、メモリーは5.5とそれなりのスコアで、このあたりはWindowsタブレットと似ている結果だともいえる。またスコアとしては、Windowsタブレットで人気の高いMiix 2 8と比べるとやや低い。
3DMARKのスコアを見てみよう。Windowsエクスペリエンスインデックスの結果からも想像はつくが、スコアは良好なものではない。そのため3Dゲームタイトルを遊ぶといった用途には不向きだ。だいぶ古いタイトルならば動作するかもしれないが、近年のタイトルについては絶望的だと認識しておくといい。
以上のように、ベンチマークの結果としては、3Dゲーム以外ではそれなりに良好といったものだ。ウェブブラウズや動画再生といった用途には十分で、クイックなレスポンスではないが、ストレスを感じない範囲でレンダリングを実行してくれる。
またブラウザーゲームを見てみると、「艦これ」はかつてのイメージでは重い部類に入るが、2014年3月末に軽量化されているため、本機のスペックでもサクサク動作する。
「千年戦争アイギス」ではもたつきが随所で確認できたので、Flashベースのゲームを遊ぶのであれば、あらかじめのCPU負荷チェックが必要になる。
消費電力をチェック
さて、スペックからも想像しやすいが消費電力は極めて低いものになる。下記グラフのように最大で8Wを確認している。また発熱についてもファンレスなので不安を覚えるところだが、全体的にほんのりと暖かくなるのみ。
側面のアルミパーツ中心に放熱し、上下の天板からも熱を逃がす構造だと思われる。Pirme95を回しつつ、FurMarkの実行を6時間ほど実行してみたが、突然のリブートもなく、動作し続けていたため、熱周りについては心配は不要だろう。
消費電力の傾向はチェックした限りではシンプルなものだった。アイドルは4W、3DMARK(Ice Storm)は6Wとなった。そのため、4~6W間をウロウロすると認識するといいだろう。
CPUとGPU使用率を100%にした状態は8W。これも高いわけでもないので、運用時に消費電力について心配する必要はないといえる。
実売価格3万円
サイズだけでなく価格もコンパクト
小型PCが登場したことでPC運用の幅は広がった。たとえば、ゲーミングPCと小型PCの組み合わせだ。ゲームをプレイするときは専用機的にハイスペックなPCを運用し、それ以外の用途では小型PCで電気代を節約といったことができる。
またZBOX picoは設置環境をほぼ問わないサイズであるため、リビングでの操作用にもいいだろう。コンパクトゆえに高い性能ではないが、それなりのことをそれなりにできるため、PCに慣れたユーザーであれば、適材適所の運用ができるだろう。
ともあれ、コンパクトすぎるビジュアルインパクトだけでも所有感を満たしてくれるため、この冬オススメのPCのひとつだ。
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ