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最新パーツ性能チェック 第169回

iPhone 5サイズで約3万円のWindows機「ZBOX pico」

2014年11月25日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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グラフィックス性能以外は良好

 本当は分解したかったのだが、どうやら内部からツメでしっかりとホールドされているようで、確実に破損しそうだった。そのため、内部チェックは諦めてさっさとベンチマークに入る。

 当然ながら基板だけに用事があるという読者もいるハズ。そういった場合は、元に戻せないことと、保証対象外になることを覚悟のうえ実行してもらいたい。まぁそういった読者の場合、そのあたりはオールOKな人たちばかりだと思うが。自腹で購入した際にはぜひ分解したいところだ。

 さて単体運用するよりは、既存環境に組み込んでの運用が多いだろう。ストレージから見ると、初回起動直後の状態でストレージの空き容量はZBOX PI321 picoの場合で49.5GB。よく使用するアプリケーションをインストールしておくには十分なストレージ容量だ。

 そうなると気になるストレージの性能だが、下の画像のように読み込みについては申し分のないものとなっている。やや書き込みが遅いのだが、頻繁に書き込む運用はあまりない現実的ではないため、問題ナシと判断してもいいだろう。

CrystalDiskMark 3.0.3を使用して、内蔵ストレージを計測した結果

 ついでにmicroSDカードスロットでも計測してみたが、読み書きともに23MB/sとやや性能の低いパーツが採用されていた。

 といっても、microSDカードを多用することはいまのところそうないため、ときどきスマホのデータをバックアップしたいときに使用するくらいだろうか。スペース的にmicroSDカードスロットになってしまったと思われるが、できればSDカードスロットを採用してほしかった。

CrystalDiskMark 3.0.3を使用して、microSDカードで読み書き性能を計測したもの。使用したmicroSDカードは、SanDisk Extreme PRO(読み込み95MB/s、書き込み90MB/s)

 次にWindowsエクスペリエンスインデックス。Windows 8.1からは隠し機能となっているため、同機能を使用できるフリーソフト「WIN SOCRE SHARE」で計測した。

 トータルスコアは3.1で、グラフィックスがもっとも低い結果となった。プロセッサーは5.7、メモリーは5.5とそれなりのスコアで、このあたりはWindowsタブレットと似ている結果だともいえる。またスコアとしては、Windowsタブレットで人気の高いMiix 2 8と比べるとやや低い。

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果。グラフィックススコアはかなり低い

こちらはLenovoの8インチタブレット「Miix 2 8」でのスコア。プロセッサー、グラフィックス、ゲーム用グラフィックスは、ZBOX picoよりも少し高い

 3DMARKのスコアを見てみよう。Windowsエクスペリエンスインデックスの結果からも想像はつくが、スコアは良好なものではない。そのため3Dゲームタイトルを遊ぶといった用途には不向きだ。だいぶ古いタイトルならば動作するかもしれないが、近年のタイトルについては絶望的だと認識しておくといい。

3DMARK Ice Stormの結果。8225と、最近としては高いとはいえないスコア

 以上のように、ベンチマークの結果としては、3Dゲーム以外ではそれなりに良好といったものだ。ウェブブラウズや動画再生といった用途には十分で、クイックなレスポンスではないが、ストレスを感じない範囲でレンダリングを実行してくれる。

 またブラウザーゲームを見てみると、「艦これ」はかつてのイメージでは重い部類に入るが、2014年3月末に軽量化されているため、本機のスペックでもサクサク動作する。

 「千年戦争アイギス」ではもたつきが随所で確認できたので、Flashベースのゲームを遊ぶのであれば、あらかじめのCPU負荷チェックが必要になる。

消費電力をチェック

 さて、スペックからも想像しやすいが消費電力は極めて低いものになる。下記グラフのように最大で8Wを確認している。また発熱についてもファンレスなので不安を覚えるところだが、全体的にほんのりと暖かくなるのみ。

 側面のアルミパーツ中心に放熱し、上下の天板からも熱を逃がす構造だと思われる。Pirme95を回しつつ、FurMarkの実行を6時間ほど実行してみたが、突然のリブートもなく、動作し続けていたため、熱周りについては心配は不要だろう。

消費電力を計測した結果。各20分実行しての平均だが、数値はブレることなく表記の値でびったりと貼り付いていた。なお3DMARKはIce Stormを実行したものになる

 消費電力の傾向はチェックした限りではシンプルなものだった。アイドルは4W、3DMARK(Ice Storm)は6Wとなった。そのため、4~6W間をウロウロすると認識するといいだろう。

 CPUとGPU使用率を100%にした状態は8W。これも高いわけでもないので、運用時に消費電力について心配する必要はないといえる。

実売価格3万円
サイズだけでなく価格もコンパクト

 小型PCが登場したことでPC運用の幅は広がった。たとえば、ゲーミングPCと小型PCの組み合わせだ。ゲームをプレイするときは専用機的にハイスペックなPCを運用し、それ以外の用途では小型PCで電気代を節約といったことができる。

 またZBOX picoは設置環境をほぼ問わないサイズであるため、リビングでの操作用にもいいだろう。コンパクトゆえに高い性能ではないが、それなりのことをそれなりにできるため、PCに慣れたユーザーであれば、適材適所の運用ができるだろう。

外出先でプレゼンするときに使うなど、ビジネス用途でも強力な味方になるだろう

 ともあれ、コンパクトすぎるビジュアルインパクトだけでも所有感を満たしてくれるため、この冬オススメのPCのひとつだ。

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【機材協力】

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