TechCrunchシニアエディターのライアン・ローラ(左)から賞を授かるAgIC清水信哉代表(右)。東大出身の技術系ベンチャーだ 写真:編集部
AOLオンライン・ジャパンが運営するテクノロジーメディア「TechCrunch」が19日、都内でスタートアップ企業と関係者を集めたイベント「TechCrunch Tokyo 2014」を開催。プレゼンコンテスト「スタートアップバトル」に創業3年未満のスタートアップ12社が登壇し、事業にかける思いを熱く語った。昨年は指輪型デバイス「Ring」を開発したログバーが最優秀賞に選ばれている。
今年の最優秀賞に選ばれたのはAgIC(エイジック)。清水信哉代表には米TechCrunchシニアエディターのライアン・ローラ氏から賞金の100万円が贈呈された。
AgICは電気を通す特殊なインク(導電性インク)の入ったインクカートリッジを開発しているスタートアップ。市販のインクジェットプリンターで電子回路を印刷し、回路の動作試験ができるようにした。カートリッジ1個あたり約2万円で100枚ほどが印刷できる。初期開発・試作に従来から使われていたブレッドボードより安価で簡単なのが特徴。
ハードウェアの試作試験をソフトウェアと同じように高速化する(ラピッドプロトタイピング)のが狙い。東京大学やスタンフォード大学、NTTやグーグルなど研究開発部門で導入が進んでいるという。すでに3Dプリンターを使った競合も現れているが、インクジェットプリンターのプリントヘッドの方がより高精細な回路印刷に合っていると自信を見せる。
清水代表は同社の強みを技術力としながらも、それだけを強みにしたくはないといい、今後は同社で抱える利用者の規模でも勝負が出来るようにしたいと話す。
「競合が出てきていることを考えると一番押さえるべきはユーザーを持っておくこと。回路図をオープンにしてダウンロードできるようにする。コピペして、印刷して試すことができるような(回路図の)プラットホームを作りたい」(清水代表)
授賞にあたり、前述のライアン・ローラ氏は「信じられないくらいエキサイティング」と激賞。AgICの技術で日本だけではなく世界中のイノベーションを支援してほしいと語っていた。
なおAgICは18日、電子回路を描いて「消せる」ペンを同梱したキット「Erasable Circuit Marker」をクラウドファンディングサイトのKickstarterに出品し、事前予約を開始している。(関連記事)
追記:一部の表現を改めました(11月21日)
