圧倒的速さのライバルたち
ミクZ4は終始追われる立場に
決勝日は気持ちがいいほどの快晴。ミクZ4は午前中のフリー走行でも「1'49.839」と快調に走っており、3位のポジションにいた。このときの1位は21号車(Audi R8 LMS ultra)、2位はラブライブポルシェこと9号車(国立音ノ木坂学院NACポルシェ with DR)と、やはり決勝は何かが起きそうだ。
レースは日没の関係もあり、いつもよりも早い13時にスタートした。もてぎのレースは250kmとほかのどのサーキットよりも距離が短く、ほぼスプリントなので、どこかでコケてしまうと取り戻すことが難しいことで知られている。ゆえに、どこからスタートできるのかが非常に重要で、ミクZ4は3番グリッドからとかなり有利なポジションにつけられたのは大きい。
スタートドライバーは片岡選手が担当。いつも通りローリングスタートで最終戦が幕を開けた。片岡選手は1周目で前を走る31号車(OGT Panasonic PRIUS)を抜き去る。直接のライバルである11号車はタイヤもハマったのか、1周につき1秒という圧倒的速さで2位以下との差をぐんぐん広げていく。11号車が1位になってしまうと、ミクZ4は3位以上が絶対条件になる。今の順位(2位)のままなら問題ないのだが、31号車の猛烈なプッシュと、その背後に迫るライバルたちがいるため、3位以上を守るのはかなり厳しい戦いだ。
しかし、そこは職人の片岡選手。31号車のプレッシャーに負けず、10周以上にわたって抑え込むことに成功する。これ以上のバトルは消耗するだけと判断した31号車は早々にピットインを決断した。ここからラクになるかと言えばそうでもなく、むしろさらにバトルは激化する。2台体制を敷くゲイナーのもう1台、10号車(GAINER Rn-SPORTS SLS)が11号車のチャンピオンをアシストすべく、とんでもない速さで背後に接近しつつあった。さらに、今シーズンはなかなか結果が出なかった21号車(Audi R8 LMS ultra)も覚醒し、片岡選手はこの2台を相手に孤軍奮闘することになった。
だが、健闘虚しく23周目に10号車に、26周目に21号車に抜かれ4位に転落。このままではチャンピオンは水泡に帰してしまう! そこでチームは予定よりも早く、27周目に片岡選手をピットインさせる。
当初はタイヤ無交換作戦も検討されたが、思ったよりも路面温度が上がったことと、ライバルたちの速さもあってタイヤは4本を交換し、しっかり給油もしてピットアウト。ここから先は谷口選手にステアリングが託された。
アウトラップで9位近くまで順位を落とすも、まわりのピットインもあって徐々に順位をあげていくミクZ4。21号車はピットインのタイミングをひたすら引っ張って、1位を走っていた。その後、21号車もピットインし、タイヤを2本のみ交換でロスを最小限に抑えてミクZ4の前に出た。だが、すぐ後ろに迫る名手・谷口選手をアウトラップで抑えるのは不可能に近く、道を譲らざるを得なかった。これで3位まで順位を戻し、チャンピオンが射程距離に入った。
2位に入ればチームタイトル、ドライバーズタイトルともに獲得で完勝なのだが、2位を走る31号車とは13秒近い差が開いている。残り15周くらいから徐々にタイムが縮まったものの、タイヤが暖まってきた21号車もガンガンプッシュしてくる。まさに前門の虎後門の狼という状況だが、谷口選手は前との差を縮めながら後ろを抑える怒濤の走りで一進一退の攻防をしながらチェッカーを目指す!
結果、残念ながら31号車に追いつくことは叶わなかったが、21号車を抑えきってゴールし、見事ドライバーズチャンピオンに輝いた(チームタイトルは惜しくも1点差で逃した)。
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