ブランドの世界観を壊さないBASEの魅力
feastを見てもわかる通り、BASEで用意された1342パターンのデザインテーマは、どれもとてもシンプルだ。右上にうっすらBASEのマークが入っているだけで、それがBASEのロゴだと知らない限り、独自で構築したECサイトとまったく遜色なく見える。
オリジナルのロゴを入れる、ショップのイメージに合わせて背景を差し替える、ナビゲーションの文字色を変えるなどのカスタマイズも可能だ。
誰でも簡単に触れる手軽さ、優れたUI/UXを兼ね備えたBASEに魅力を感じたのが、ロコンドの田中氏である。
「ぼくがTwitterで『なんとかやってもらえませんか?』と連絡して、出勤途中にチャリンコで来たんですよね(笑)」
靴やバッグを販売するB2CのECサイトが有名なロコンドだが、実は、B2B事業も手がけている。たとえば、女性向けの人気ブランド「Samantha Thavasa(サマンサタバサ)」では、公式サイトの開発・運営を受託。在庫管理から顧客対応も含むオペレーションまでを一括して請け負っている。一方で、ロコンドに完全に任せるのではなく、「独自のブランドショップを作りたいが、ECは素人なので運営を部分的に任せたい」というブランドからの“ライト”なオファーもあるという。
田中氏はそうした“ライト”なオファーを、BASEに「なんとかやってもらえませんか?」と持ちかけたのだ。
わずか2カ月間で売上が10倍に
BASEとロコンドが提携後、初めて手がけたのがイタリアのレディースシューズブランド「ルコライン」だ。ロコンドの年商80億円のうち、売上の7割を占めるのが靴であり、ロコンドが培ってきたマーケティング手法を活用できる分野である。
BASEのプラットフォームに刷新後、ルコラインのオンライン売上はわずか2ヶ月で10倍ほどに増えた。「すごく喜んでくれていて、イタリアのファッション業界で日本での成果を話してくれている。おかげで次もイタリアのブランドでの展開が決まりました」と、田中氏は顔をほころばせる。
BASEで作られたルコラインのECサイトは、訪問数自体にはさほど変化がないにもかかわらず、コンバージョン率が劇的に上がったという。なぜか。
海外、特にヨーロッパのブランドサイトを日本向けに無理やりローカライズすると、レイアウトが崩れたり、不自然な表記になってしまったりと、どうしても胡散臭さが拭えないことが多くなる。そうした違和感を、BASEを通してきれいにすることで、大幅な売上の伸びにつながったのだ。
「ブランドの世界観が壊れないように、ほどよい感じでデザインされているところがいいですね」(田中氏)
ロコンドは今後も、取引のある約1000ブランドに対して、BASEを使ったブランドECサイトの構築・運営を手がける予定だ。サイトの構築からオペレーションまでフルパッケージなのか、BASEを活用したショップ運営のみのライトバージョンなのかを、相談しながら提案していくそうだ。ゆくゆくは、ロコンドで作ったBASEのショップを集めたモールの開設まで視野に入っているという。
どちらかといえばC2C向けのネットショップ構築ツールというイメージのBASEを、ロコンドはB2C用のECサイトとして活用している。意外なほどうまくいっている両社の協業から、今後も目が離せない。
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次回は、ロコンドだけでなく、法人ユーザーがBASEでオリジナルショップを作った場合に、どのような工夫をすればよいのか、より具体的なBASEの活用法について、ご紹介しよう。