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非対面から対面へ、大きく舵をきった「あきゅらいず美養品」 独自のブランディングとCRM戦略に迫る

文●通販通信

2014年11月06日 01時05分更新

記事提供:通販通信

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心肌体と向き合うシンプルなスキンケアと、女性の心に寄り添った対応で、顧客満足度を高めている(有)あきゅらいず美養品。

「スキンケアに頼るのではなく、暮らしそのものを見つめる」考え方が共感を呼び、同梱チラシでは2.21%という高いレスポンス率をたたき出したこともあるという。

今回は同社代表の南沢典子さんに、独自のブランディングと商品づくり、CRM、そして新たな取り組みを聞いた。

スキンケアにとどまらず、農園、パン教室など

「素肌でいきいきと暮らすための手段」を実践・提案
あきゅらいず美養品は、“美を養う”をコンセプトに、主にスキンケア製品の企画・開発、販売を行っている。

2003年の創業当時はスキンケア事業のみだったが、現在は社員食堂「森の食堂」の一般開放や、スタッフが米や野菜の栽培を体験する「あきゅ農園(山口県岩国市)」、国産小麦と天然酵母を使ったパン教室「森のパン楽校(がっこう)」、薬膳レシピの研究を行う「薬膳応用研究所」、屋久島でエッセンシャルオイルの抽出・販売・SPA運営を行う「やわら香(やわらか)」など事業を拡大。スキンケアから派生した「素肌でいきいきと暮らすための手段」を実践し提案している。

事業を拡大した理由を南沢さんに尋ねると、

「私たちは『2・8の法則』と呼んでいますが、2割が『スキンケアでどうにかできること』、あとの8割は『食事と暮らし方』なんです。肌トラブルの対処に欠かせないことは『食事と暮らし』。あきゅらいず美養品の仕事は、お客様の肌と向き合うとともに、暮らしを見つめ直すきっかけを提供することだと考えています」

現在はスキンケア事業が売り上げの核となっているが、将来的には全事業をスキンケアと同様の規模に引き上げたいという。

5分でできるシンプルなスキンケアを提唱

母体のスキンケア事業では、肌質、年齢、男女関係なく「3ステップのシンプルケア」を提唱し、家事や仕事に忙しい女性を中心に愛用者を広げている。ターゲットは30代から40代で、実際の使用者は30代~50代がボリュームゾーン。近年は、パッケージをユニセックスなデザインに変えたことで、男性からの支持も得ている。

「私はもともと大手化粧品会社に入社し、美容部員としてお客様の肌の悩みに触れてきました。一人ひとりに合う化粧品を提供したかったのですが、次々と出る新商品を販売しなければならず罪悪感がありました。そのため、あきゅらいず美養品を立ち上げた時は、『人に必要とされる、追及したものを作りたい』という思いがあったのです」(南沢)

創業から10年間続いている定番商品は、洗顔石鹸『泡石』、洗い流すパック『優すくらぶ』、オールインワン保湿クリーム『秀くりーむ』の3点。これらは「必要なものだけに絞った3ステップ」だという。美容部員時代、肌の手入れに2時間もかけていた彼女が、シンプルケアにこだわるのには大きな理由がある。

左から、「泡石」、「優すくらぶ」、「秀くりーむ」

クリックすると拡大します。

「女性は家事や仕事でとても忙しい。特に子供ができると、お肌に時間をかける余裕はありません。でも、『すっぴん=ずぼら』のようなぼさぼさな状態で働きに出たら、社会には受け入れられない。なら、5分のお手入れで肌を整え、気持ちも整え、食事をきちんととる余裕ができて、さらに家族が幸せで元気になれば、働く気持ちも整ってくる。そんな暮らしの提案ができたら、社会は変わると思ったのです。『素肌でいきいきと暮らす社会を作りたい』『社会でいきいきと暮らす女性を増やしたい』、それがシンプルケアにこだわった理由です」(南沢)

そんな同社の商品に10年間変わらず配合されているのが、水だけで抽出した10種類の東洋ハーブエキス、漆黒色の『草根木皮たまり』だ。

乾燥、ニキビ、くすみ……、消えることのない女性の肌の悩み。食生活などいろいろな原因で崩れてくる肌のバランス。そのバランスの崩れは何だろう?と突き詰めた結果、東洋医学に行きついたという。2003年7月、東洋ハーブの研究機関である中国薬科大学に電話をかけ、早速、現地へと飛んだ南沢さん。そこで東洋ハーブを濃縮した『草根木皮たまり』を生み出し、時間をかけてこのエキスを使った『泡石』『優すくらぶ』『秀くりーむ』を開発。その年の暮れに、あきゅらいず美養品を立ち上げた。

「やっと一緒に働く仲間たちが自信をもってお客様におすすめできるものができたと思いました。売れる売れないよりも、とにかく人に必要とされるものを作りたかったのです」(南沢)。その熱意が創業の原点となり、愛用者を増やす要因となった。

CRMはまさに「北風と太陽」、信用を得れば2回目、3回目がある

現在、あきゅらいずの会員数は約10万人。売り上げの構成比は、WEB42%、電話31%、ファックス15%、郵便10%、モバイル1%、店頭 0.4%となっている。年商は約15億円。

通信販売は非対面のため、ともすれば顧客との関係性は希薄になりがちだ。だが、あきゅらいずは違う。友人のように『森の食堂』を訪れる女性たち、商品を使った女性から届く感謝の手紙……。顧客と親密な信頼関係を築くことに成功している。なぜ、非対面の通販会社が、ここまで血の通った関係を顧客と築けるのだろう? 

その秘密は、南沢さんがスタッフに伝える「お客様に損をさせない以外は何をしてもいい」という言葉にあるのかもしれない。会いに行ってもいい。喜んでもらえるならちょっとしたプレゼントをしてもいい。そんな社内環境のなかで、スタッフたちは「お客様のために自分が何をできるか」を考えるようになる。

「まず、何を売るか? 私は信用を売ったほうがいいと思うのです。すると『あの人の言うことなら信頼できる』となる。信用がないと『また買わされるから』と、2回目、3回目の購入はなくなる。販売は『北風と太陽』に似ています。北風は『数字を追う売り方』、太陽は『お客様に喜んでもらう売り方』。お客様に喜んでもらえれば、結果はついてくると信じています」(南沢)

 

非対面から対面へ、「モノ」よりも「コト」を売ることに重点を

「この間、森の食堂でお客様の○○さんがフルートを吹いてくれて……」「あきゅ農園へお客様の○○さんと一緒に行ったら……」。南沢さんの会話には、顧客一人ひとりの話がよく飛び出す。そこには人とのつながりを大切にする彼女自身の思いもあるが、「森の食堂」や「あきゅ農園」、年1回地域の人や顧客を招いて行う「文化祭」などの取り組みが、顧客との関係を密にするツールとして一翼を担っている。

今年からはさらに対面に力を入れていくスキンケアの方法を紹介する「素肌の学校(10月~)」を開始するほか、全国各地で積極的にイベントを開催。「モノ」よりも「コト」を売ることに重点を置く方針だ。これに合わせて、社内では非対面だったスタッフを対面にする教育と、対面販売の経験がある人材採用も進めている。

「私たちは、スタッフ一人ひとりが美養の体現者になるべきだと考えています。化粧品屋だったら、『お姉さんみたいになりたい』とアイシャドーや口紅を買いますよね。私たちスタッフも実際にあきゅらいずのスキンケアを使い、ライフスタイルを見直すことで素肌が変わっていく実感を同じ悩みを持つお客様に伝えていきたい。そう考えると、対面であることがとても大事だと思うのです」(南沢)

南沢さんをはじめスタッフ全員がすっぴんで過ごし、すこやかな肌といきいきとした笑顔で対応してくれるのが印象的な同社。これからはスタッフ一人一人が「素肌の状態がいいと、暮らし方が変わる」という素肌の体現者となって、「対面」の場を増やしていく。

あきゅらいずでは、スタッフ全員がすっぴん(ノーメイク)で過ごしている

クリックすると拡大します。

1000人中1人の心に響くものを……。最終的は広告をゼロに

クリエイティブでは、ターゲットに響く内容を追求し、同梱や新聞折り込みチラシで高いレスポンスを獲得することでも知られている同社。特に同梱チラシでは、2.21%という高いレスポンス率をたたき出したこともあるという。その秘訣を聞いてみると……。

「ありのままを伝えようとしています。広告は、どうしても売り込むためのチラシを作ってしまいがちですが、会社のそのままを伝えたい。それに共感し、興味が沸けば買っていただきたいと思っています」(南沢)

チラシのスタイルは2006年からほとんど変わらず、表面に南沢さんのすっぴんの横顔、裏面に南沢さんの人生を描いたマンガ、そしてお客様の体験談、商品の紹介がある。

「大企業は新しい商品を次々に出し、1000人中999人に売れるものを作ろうとします。しかし、それは大企業にしかできないこと。私たちは、1000人中1人に響くクリエイティブや商品づくりを行っています。クリエイティブも商品も、マスに響くものってぼんやりしちゃうんです。だから対象として1人が本当にほしい、1人が本当に困っていることを改善できるきっかけであるようにコンセプトを詰め、商品やチラシを作っていくと、『あの人がすごく良くなった。じゃ私も使ってみよう』となる。するとお客様が発信力を強め、新たなお客様を呼んできてくれる。それが、どの広告に勝る広告になると思っています。なので、最終的には広告をゼロにしたいんです。私たち自身がもっと、お客様と積極的に関わりたいので」(南沢)

非対面だからこそ広告に頼ってしまう。顧客と実際に向き合うことが最大の広告になるとして、同社は今、広告に頼らない社内体制へと変わろうとしている。

目標は「素肌で生き生きと暮らす人を10万人作ること」

南沢さんの今後の目標は、「10年後に、10万人の体現者を作るということ。素肌で生き生きと暮らす人を10万人作ること」だという。

「まだまだ小さな会社ですが、『もっと社会に開けていけたらいいな』と思っています。そのためにスキンケアはもちろん、『森の食堂』『あきゅ農園』『やわら香(やわらか)』などの事業を通して、『誰もがいきいきと自分らしく暮らす社会』をつくっていきたい」

非対面から対面へと大きく舵を切ろうとしているあきゅらいず。今後の活動に注目したい。

(聞き手 通販通信編集部)

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■プロフィール
南沢典子
1967年浅草生まれ、47歳。
高校卒業後、16年間大手化粧品会社の美容部員を勤めたあと、東洋医学に出合う。
中国で東洋ハーブの濃縮エキス「草根木皮たまり」を開発。
帰国後、「贅沢なシンプル」をコンセプトに(有)あきゅらいず美養品を設立。
自然に自分らしくいられる「すっぴん生活」を提唱。
スタッフとともに常にすっぴんで過ごしている。二人の娘の母でもある。 

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