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これはリアルな“ベイビーステップ”か?WTAツアーを支えたSAPのHANA

スポーツにデータがやってきた!女子テニスを分析するSAP

2014年11月06日 09時00分更新

文● 末岡洋子

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ファンを楽しませるための「データ分析」とは?

 14ケ月間、ソリューション開発のために選手と共に過ごしたというルイス氏は、「テニス選手というのは面白い人種で、何かがうまくいっていないと思い込む傾向がある」と笑う。数値を見せながら、”大丈夫、戦略通り”と伝えることができれば、選手の心理面に良い影響がでるだろう、と述べた。

 会期中、コーチと共にMatch Insightsを使ってきた世界ランキング7位のアナ・イヴァノビッチ(Ana Ivanovic)氏はそれを裏付けるかのように、「本番でプレイをしているとき、何かがきちんとできていないと思うことがある。分析により、実は自分の失敗が原因になっているのではないとわかれば、元気づけられる」と語った。「かなり深い詳細データが得られることに驚いた」とも続けた。

セリナ・ウイリアムス(Serena Williams)とイヴァノビッチ氏の試合データ。ウィリアム氏のサーブが入った場所を1回目、2回目、エースを色別に示したヒートマップ

サーブのリターンを分析したデータ。勝利したウィリアム氏(左)の方がReturn Points Wonが高いことがわかる。

サーブに関するデータ。ウイリアムス氏はエース12回、ダブルフォールトはウイリアムス氏が4回、イヴァノビッチ氏が7回などとなっている。これを文脈にあわせてさらにドリルダウンできる

イヴァノビッチ氏のサーブリターンの場所を示したヒートマップ

 WTAのCEOであるステイシー・アラスター(Stacey Allaster)氏は、「WTAでは年に3000もの試合があり、かなりのデータを収集できる。このデータをどう利用すべきかが課題だった」と述べる。「データ活用はゲームチェンジャーになる」と自信を見せるが、選手とコーチだけではない。実はアラスター氏にはもう一つの狙いがある-ファンだ。

 さまざまなエンターテインメントがある中で既存のテニスファンを楽しませ、新しいテニスファンを獲得することは、アラスター氏の重要な課題の一つだ。スポーツ業界がファンとの関係を構築するにはソーシャルとデジタルは不可欠になっており、本イベントではSAPのソリューションを公式アプリとしてファンに提供した。一般のファンが選手の詳細データをみることができ、試合のショットをバーチャルに再生する機能もある。

SAPが開発した公式アプリ。時間毎のイベント情報、バーチャルリプレイ、サーブの方向など多面的に試合のデータを得られる。写真はユージニー・ブーチャード(Euginie Bouchard)氏対イヴァノビツチ氏の試合の例で、ブーチャー戸氏の2回目のサーブの速度(時速81マイル)、イヴァノビツチ氏のリターンの場所(中央)と速度(時速65マイル)、ラリーのショット数(7回)などの情報がわかる。

今後の規制緩和でデータ分析はもっとデイープに

 情報が果たす役割が大きくなりつつあるのは、テニス界だけではない。SAPは6月~7月にブラジルで開催されたFIFA World Cupで、ドイツのサッカーチーム向けにデータを活用したソリューションを披露した。これを用いることで、コーチが選手に課した”ボール保持時間の短縮”という課題を、データを基に改善されているかどうかを確かめることができた。やはりカメラを利用して取得したデータを分析し、わかりやすい形で表示する。支えるのはもちろんHANAだ。

 これが優勝を決定づけたと断言はできないが、寄与したことは間違いないだろう。

7−1でドイツチームが勝利した対ブラジル戦でのボール保有率、シュート数、パス成功率などのデータ

 SAPによると、現在スポーツでのビックデータは多くがカメラだが、ユニフォームやテニスラケットなどにセンサーが入ってきており、さまざま形でのデータ収集が可能となる。現在は試合中の着用が認められていないことが多いが、今後規制が変わることが予想される。

 「パフォーマンスの改善にデータを活用する」-このトレンドはスポーツだけではない。ルイス氏は「テニスでやっていることは、あらゆるビジネスで共通している」と語る。「さまざまな情報ソースから大量のデータを集め、意味のあるものにして、わかりやすい形で利用できるようにする」-たしかに、ビックデータ時代の企業の課題であるデータの活用と同じといえる。

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