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デベロッパー重視のアマゾン、クラウド分野で大きくリード

2014年11月05日 16時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

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追いつくのは容易ではない。

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写真:アマゾンCEO、ジェフ・ベゾス

アマゾンがパブリック・クラウド・コンピューティング競争をリードしている事は秘密でもなんでもない。問題はそれがどの程度の差なのか、だ。

一年前、ガートナーのアナリスト、リディア・レオンは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)がクラウド競合他社上位14社を全部合わせたものの5倍に等しい実用演算能力を持つと判断している。より最近では、テクノロジー・ビジネス・リサーチが、AWSの収益が2位につけるMicrosoft Azureの30倍の規模であると算出している。

どちらにせよ、この圧倒的不均衡はOccupy Amazon(オキュパイ・アマゾン: アマゾンを占拠せよ運動)の参加者に充分な動機を与えるものだった。しかしながら、非難する者や競争相手にとっての問題は、アマゾンがどうにも失敗しそうにないという事だ。このリードを崩すことができる者がいるとしたら、それはAWSと同じくらいデベロッパー達の要求をみたすことができる者、ということになる。しかし、それもあり得ないようだ。

パブリック・クラウドは、今後より大きく

AWSに一歩先んじる事が、今後ますます重要になってくる。問題は、レオンが指摘するように、AWSとその他の間にあるギャップが、どう見ても巨大すぎると言う事だ。

vgill (@vgill):「@randybias @gigabarb 会計上の損失はFCF(フリー・キャッシュ・フロー)で運営しているベゾスに影響を与えないだろうし、そういうのは株式や債券の市場を必要としない」

Lydia Leong (@cloudpundit):「@vgill @randybias @gigabarb AWSの市場シェアは巨大だわ。例えば、スケールとかね。競争相手は相当頑張らないと」

そのような「スケール」面での優勢は、データセンターに左右されるものではなく、実際のところソフトウェアの問題である、と彼女は続ける。AWSは、強力なデベロッパー主体のソフトウェア・インフラストラクチャを数多く備えている。すなわち、デベロッパー・サービスを提供しているため、データセンターを持ってしてその差を詰める事は、残酷なまでに困難である。

レオンはまた、より多くのワークロードがクラウドに移行されていると報告している。各企業がその全データセンターをパブリック・クラウドに移動し始めるところまで来ているのだ。これはアマゾンのライバルにとっては更なる憂鬱の種だ。

Barb Darrow(@gigabarb):「アマゾンとグーグル、それにマイクロソフトが入り乱れる中、他にパブリック・クラウドで競おうと思う者がいるかな?」

Lydia Leong (@cloudpundit):「@gigabarb 主要なレガシィ・ワークロードがクラウドへ全面的に移動させることが主流となりつつある」

何故か?それは、ネットワーク効果によりベンダーのクラウドはAWSに関心を向け、それによってAWSが圧倒的な利益を得ているからだ。もしあなたがベンダーで、新たなホスト先を選んでいたとしたら、AWSがほぼ確実に第一候補になるだろう。学生だったとしたら、AWSはあなたが学ぶ最初の、そして恐らく唯一のクラウドになるだろう。そういったことだ。

ほとんどのベンダークラウド黎明期において、IT技術や施設に注力していた一方で、アマゾンはデベロッパーに全力を傾け、デベロッパーにとってデフォルト的存在になったのだ。

怪物アマゾンとの競合

競合各社も気づいていて、AWSの弱点とおぼしき部分をついてシェアを伸ばそうと試行錯誤している。

プライベート/ハイブリッド・クラウド側からは、パブリック・クラウドのままだと高くつくと言い寄ってくるベンダーが存在する。だがパブリック・クラウドの本当の魅力がその便利さにあるのに、コストを重視した戦略は全く的外れでしかない。

そしてパブリック・クラウド陣営でも、グーグルやマイクロソフトが、AWSに対して同様の価格競争で挑んでいる。彼らも成功していない。一つのプラットフォームから別のところに引っ越すことを考える際に、重要なのは多少の金額を節約することではないのだ。より便利なクラウドを示すことでしか、誰もAWSから乗り換えようとはしない。

GigaOmのバーブ・ダロウがどのベンダーならAWSの座を奪う可能性があるか尋ねてみたところ、様々な回答を得た。その多くが希望的観測だったのではないか、と思わずにはいられない。

値段によってデベロッパーが他のベンダーになびく事はあり得ない。しかし、便利さ、ならばあり得るかもしれない。AWSの競合会社の中で、マイクロソフトが最も有力な「便利さ」の構想を持っているかもしれない。彼らはWindowsデータセンターのワークロードとAzureクラウド・リソースを統合する事ができるからだ。

これは強力な構想だし、反響を呼びそうだ。

マイクロソフトは、アマゾンの競合他社にとってロール・モデルとなり得るだろう。アマゾンに対抗するには、価格低下や高性能、高セキュリティ等の構想ではなく、デベロッパーに利便性を提供しなければ、勝つことなどありえないのだ。利便性でデベロッパーはなびくのだから。

AWSは強力なデベロッパー構想で支配的なリードを得てきた。しかしマイクロソフトなら、アマゾンとは違ったデベロッパー主体の独自構想で、そのリードを縮める事ができるかもしれない。勝負はこれからだ。

トップ画像(Amazon CEO Jeff Bezos)提供:Steve Jurvetson

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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