DRMフリーというハイレゾ配信の原則に時代が追いついた
ハイレゾ配信に大手が参入してきたのは2011年の4月以降です。当初は昔の名盤をある程度出して感触をつかみ、ビジネスの種になると感触をつかんだ。結構いけそうだねと思い始めて、2013年ごろから本格的なリリースが始まりました。
なぜ彼らが慎重だったのかというと、DRMがないからです。iTunes storeも今でこそDRMフリーの楽曲が中心となりましたが、最後までDRM付にこだわっていました。実はハイレゾ配信にも昔はDRMがありました。e-onkyo musicも当初はDRM付きのWMA形式で配信していました。これが基本的に2011年のクイーンの配信の近くまで続いた。
世界的に見ると、日本のe-onkyo music、スコットランドのLINN RECORDS、アメリカのHDtracksの3つがハイレゾ御三家ですが、このうちHDtracksとLINN RECORDSははじめからDRMなしの配信でした。大手レーベルからすれば、このあるなしが大きな問題で、不法配布を恐れていた。
ただDRMはユーザーにとってはものすごく使いにくいもので、特に1度パソコンでダウンロードした、そのパソコンでしか聴けないのでは困る。そうじゃないと、ネットワークプレーヤーにも、ウォークマンにも転送できない。だから、ハイレゾ=DRMフリーが原則なんですね。
ただ昨年著作権法が改正されて、罰則規定が設けられた。これが大手レーベルに一つの保証を与えたという側面は大きいです。
この連載の記事
-
第10回
AV
麻倉怜士推薦、絶対に失敗しないハイレゾ機器はこれだ -
第9回
AV
ネットワークプレーヤーの利便性を上げるHDD内蔵機 -
第8回
AV
ハイレゾを始めるならUSB DAC? それともネットワーク? -
第7回
AV
PCオーディオという言葉の誕生からハードの変遷を知る -
第5回
AV
発展途上のフォーマット、DSDの魅力を知る -
第4回
AV
ヘッドフォンとハイレゾ、手軽な圧縮から本格的な音へ -
第3回
AV
ハイレゾはなぜ音がいいのか? 聴こえない心地よさの秘密 -
第2回
AV
ハイレゾとニセレゾ、規格か宣伝文句なのかという議論 -
第1回
AV
ハイレゾ前史:人はいい音という普遍的な夢を追い求めてきた -
AV
麻倉怜士のハイレゾ入門講座 - この連載の一覧へ