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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第6回

ハイレゾ版の松田聖子やカラヤンで、青春時代がよみがえる

2014年12月31日 11時00分更新

文● 編集部、語り●麻倉怜士

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松田聖子のSACDで青春時代が蘇る

 話はそれますが、最近松田聖子さんの曲を聞き比べています。CDと高音質CD(Blu-specCD2)、それからステレオサウンドが製作したSACD。これを聞き比べると、松田聖子は1980年のデビュー当時からものすごく表現のテクニックに優れているなと気付く。

 例えば曲によって、明るい感じのフレーズと暗いフレーズが行き来きするけれど、その差はCDで聴いてもあまり分からない。ところがSACDで聞くと、明るさと暗さの対比がすごく出てるんですね。一曲の中に。それからニュアンスがすごく豊かなんですね。とりわけ発声した後の余韻は、CDでは早く消えちゃうんですよ。SACDで聴くと、松田聖子がちゃんと意図をして、先の響きまでニュアンスにしたんだと分かります。

 青春時代がよみがえるというか、より鮮烈になってくるというか。青春の時に体験してないものが出ているというか。これもハイレゾの楽しみで、聴いていたけど本当はこうだったんだ、この人はこんなにすごかったんだと、今だから再発見できるんですね。

 音がいいというよりも、音楽のすごさというか、演奏のすごさ、解釈力の機微までわかってくるというのが昔のアーカイブをいま聞く意味でしょう。「Waltz for debbie」というビル・エヴァンスの超名盤なんですけど、これも一昨年ぐらいに192kHz/24bitで出ました。

 これって超名盤なだけあって、レコードはあるしCDもすごくたくさん出てるんだけど、やっぱり違うのは空気感ですね。あれ、The Village Vangurdのライブなんですけど、拍手があっておもむろに始まってから、自分がいるところとステージまでの距離とか、ベース、ドラム、ピアノの3人の息の合い方。即興演奏の時の目配せのやり方みたいなものまで見えてきます。単なる音だけじゃなく、音にどういう意味があるか、その音がどうなったのかまで分かるのがハイレゾなんです。

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