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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第2回

ハイレゾとニセレゾ、規格か宣伝文句なのかという議論

2014年12月27日 19時00分更新

文● 編集部、語り●麻倉怜士

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ハイレゾの定義を決めようという流れ

 だからハイレゾの基準をしっかり定義しようという動きが出てきた。日米でアプローチが違うのですが、日本の場合は、どちらかというと数字合わせの意味合いが強いですね。JEITAは44.1kHz/24bit以上の音源をハイレゾにするとし、オーディオ協会は96kHz/24bit以上をハイレゾと定義しています。

各社のハイレゾ機器につけられているロゴ

 ここには明らかにハイレゾをマーケティング、もしくは産業として捉えるか、音としてハイレゾを見るかの差があります。

 JEITAは電機メーカーの集まりですから、ハイレゾ産業をいかに振興していくかに関心がある。なるべく多くの人に参入してもらいたい。つまり条件をあまりきつくしない。サンプリングレートはCDと同じでも、量子化ビット数がCDよりも8bit多ければいいでしょうというのが、JEITAの考え方です。一方オーディオ協会は、やはり音が良くなければ、つまりCDの倍以上の情報量がなければハイレゾではないだろうという考え方ですね。

数値ではなく作られ方に着目する考え方も

 もうひとつ、アメリカのDEG(Digital Engineering Group)の定義もあります。これは録るときからハイレゾじゃなきゃいけませんというもので、日本とはアプローチが違いますね。

 CDのパッケージを良く見ると「DDD」や「DAD」といった表記が書いてあることがあります。例えば、アナログで録音して、デジタルでマスタリングし、デジタルでリリースするなら「ADD」となります。「DDD」っていうのは全部デジタルでやりました、「AAD」っていうのは最後だけデジタルですと。

 しかしCDと違って、ハイレゾにはその表記がないんですよ。つまり、CD用に作った音源をただ単にアップサンプリングしただけの、ちょっとインチキっぽいハイレゾなども存在します。

 もちろんハイレゾ品質でデジタル録音したものだけがハイレゾではなく、アナログのマスターを改めてハイレゾ品質でデジタル化しなおすのも立派なハイレゾです。その由来をきっちりと書きましょうというのがアメリカの考え方ですね。

 アメリカは“音楽の消費国”です。コンテンツ産業はあるけど、アップルのようなディトリビーション企業もあるけれど、日本のようなハードメーカーが少ないという事情もあるでしょう。

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