ハイレゾに確信を持てたソニー
そのきっかけのひとつは、昨年のハイレゾウォークマンでしょうか。その前からiBassoとか、Astell&Kernなど、中国・韓国系のブランドの製品はボツボツ出ていたんですが、価格が高かったりもして、好きな人向けという色が強かった。
ソニーとしても結構大きな衝撃だったのが、価格が普通のウォークマンの3倍程度だったにも関わらず、ふたを開けたらものすごい人気だったことですね。しかも7万5000円の本体だけではなく、MDR-1シリーズという2万5000円のヘッドフォン、それに5万円のポータブルアンプのセットで15万円もする製品が飛ぶように売れていったことです。これでソニーは“ハイレゾ”に確信を持てた。
2014年1月にラスベガスでソニーの平井一夫社長に「日本では、秋に発売されたハイレゾ対応のオーディオ、特にハイレゾウォークマンが飛ぶように売れています」と尋ねた。
「年末に主要なディーラーさんを回ったのですが、『ハイレゾで、たいへん申し訳ございません』と、お詫びの連続でした。品切れで、お客さんにご迷惑をお掛けしていますからね。ハイレゾウォークマンNW-ZX1は7万円台もするのです。この価格はどうかなと事前に思ったのですが、ふたを明けてみたら、もの凄い売れ行きなんですね。
びっくりするのは、安いFシリーズより売れているんですよ。しかもヘッドホンが付属していないので、ハイレゾ対応のヘッドホン、ハイレゾ対応ヘッドホンアンプをいっしょにお買い上げいただくと、15万円ぐらいになっちゃうんです。ポータブルオーディオで15万円を買っていだたけるエンスージアズムは、想定以上でした」。
つい最近、ウォークマンでも「Aシリーズ」という低価格のレンジがハイレゾに対応したし、スマホのXperiaもハイレゾ対応していました。
そういう意味でハイレゾは、スピーカーで聴く環境の中で発展してきたのだけれど、同時に現代風のヘッドフォンリスニングでもハイレゾだという流れもあるんですね。その結果、すごくおもしろいスキームも出てきています。
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