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日本独自の進化を遂げた、新Office特集 第5回

デジタルライターが見る、新Officeの未来とは

塩田紳二氏に訊く、新Officeは「過渡期の製品」?

2014年10月29日 09時00分更新

文● 松野/ASCII.jp編集部

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――年額1万2744円という価格設定についてどう思われますか。

 米国だとOffice 365は、Personal(1PC)が69.99ドル/年、PC5台までのHomeが99.99ドル/年。また、Microsoftストアであっても、25ドルのリベート(ストアでのみ利用できるギフトカード)が付属する広義の「割引」が行われていることもあります。利用条件などに違いはありますが、絶対価格としてみると、Office 365 Soloの価格は高いのではないかと思います。過去には、日本のOfficeのほうが米国よりも安価だった時期もありました(国産ワープロメーカーなどとの競争があったため)が、こうしてみると、完全に逆転されている感じがあります。

――サブスクリプション化の影響について。現在は無料ソフトも多く存在しますが、ドキュメントのビューワーだけ必要であればいいというユーザー、多くの機能を活用しないようなユーザーは、今回のOfficeライセンスの変更にどのような価値を見出したらいいでしょうか。

Office 365 Soloは年額1万2744円。これまでのパッケージ版に親しんできたユーザーにとっては、年単位での契約がネックとなりそう

 ユーザーはOffice互換ソフトや同等のクラウドサービスなどを自由に選択でき、Officeだけが唯一の選択肢でもなければ、Officeが万人に必須というわけでもありません。なので結論として、Officeに無理に価値を見いだす必要はないと言えます。

 本当にOfficeが必要なのかどうか、考える必要があるかもしれません。たとえば文書作成ならメモ帳やワードパッドで十分な人もいるだろうし、クラウドサービスであるGoogle Driveの機能(ワープロや表計算など)を使う方法もあります。また、Microsoft Office以外の無料オフィスアプリもあるわけです。以前に比べれば、最終表現やファイル形式という点でのOfficeとの「互換性」は高くなってきています。

 ユーザーに選択肢は与えられており、Officeはその1つでしかありません。価値を見いだしたユーザーのみがOfficeを買えばいいのであって、それ以外の人は「買わない」という選択肢もあることを理解すべきだと思います。

――日本マイクロソフトは、今後も日本市場でOfficeプリインストールの販売方式を維持していくのでしょうか。

 プリインストールは、サブスクリプションモデルの場合、呼び水として利用できます。つまり2年目以降、一部のユーザーでも有料で継続してくれれば、サブスクリプションユーザーを増やすきっかけとなりうるわけです。また、初回にMicrosoftアカウントを登録することになり、有償の継続はクレジットカードを登録する程度で済みますので、敷居は低いと言えます。

 米国でも、Windows with Bingを搭載した安価なタブレットにOffice 365の1年間のサブスクリプションが付属しているものがあります。サブスクリプション系のOfficeならば、プリインストール(バンドル)の継続はありえる方向性でしょう。

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