デジタルライターが見る、新Officeの未来とは
塩田紳二氏に訊く、新Officeは「過渡期の製品」?
2014年10月29日 09時00分更新
引き続き、新しいMicrosoft Officeをめぐる状況を整理していく。今回は、デジタル分野に造詣の深いフリーライターの塩田紳二氏に、新しいOffice Premium/Office 365 Soloについてのご意見をうかがった。
(第4回記事はこちら:新しいクラウド型Office「Office 365 Solo」を試した!)
――まずは、新しいMicrosoft Officeのライセンスに対する率直な評価をお聞かせください。
プレインストール版のOffice Premiumは、Microsoft Officeがサブスクリプション(Office 365 Solo)へ完全に移行するまでの過渡期の製品ではないかと思われます。購入したOfficeの「バイナリ」はずっと利用できるという現在のパッケージ、プレインストール版Officeによく似たライセンス形態を維持しつつ、ユーザーにサブスクリプションサービスのメリットを提供することで、サブスクリプションへの移行を促すためのものと考えています。
――Office 365は日本への投入が遅れましたが、Officeのクラウド化が日本市場に与えるインパクトについてはどう思われますか。
提供が遅れたのは、プリインストールマシンの普及が大きな要因だと思われます。日本マイクロソフトとしては、諸般の事情からプレインストールビジネスを優先していたのではないでしょうか。また、日本ではビジネスにも利用出来る個人向けのライセンスがあったために、「個人向け/非商業利用」とした安価な製品を出すことができなかったという理由もあるでしょう。
もともとOfficeはライセンスが無効にならない限り、メジャーアップデートは利用できませんが、該当のバージョンは永続的に使えました。ただ、Officeのプレインストールはハードウェアと関連づけられており、PCとライセンスが一体になっているため、他のマシンに移行できないものの、PCとともに譲渡可能なものであったわけです。このため、中古市場が大きくなると、多数の古いOfficeが本体とともに使われ続けるという状況を生み出していました。
つまり新機種のユーザーは、毎回OfficeプレインストールPCを購入しなければならず、中古市場ではOfficeプレインストール製品に付加価値(Officeが使える)が出来ていたのです。
また、プレインストールされたOfficeのユーザーは、全員がユーザー登録をするとは限らず、日本マイクロソフトからみれば、長年Officeを使っているのにもかかわらずどこの誰か特定されていないユーザーが大多数であり、その挙動を捕捉することも困難でした。
Office 365は、ハードウェアとライセンスが切り離され、個人とライセンスが結びつくものであるため、ハードウェアを売却しても、Officeのライセンスは一緒には移動しません。日本マイクロソフトも、サブスクリプション契約によりユーザーを確定でき、継続的なビジネスが可能になります。ユーザーには、毎回Officeプレインストール製品を買わなくてもいいというメリットができるのです。このため、Office 365 Soloに移行するユーザーは次第に増えるのではないでしょうか。
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