このページの本文へ

よくわかるExpress5800!第1弾は使えるオフィス向けサーバー

コンパクトで静か~!拡張性もあきらめない水冷スリムサーバー

2014年11月12日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ユーザーや販売パートナーの声を商品開発に取り込んだ「Express5800シリーズ」のこだわりを紹介するコーナーの第1弾。今回はオフィスでの設置に最適な水冷スリムサーバについてNECの濱岡真由氏に紹介してもらおう。

スモールビジネスではサーバーの半分はオフィスに置かれてる

 水冷スリムサーバーの登場は、サーバーをオフィスに設置したいというニーズが顕在化してきたことが背景にある。1990年代のサーバーは専用のサーバールームに置かれる重厚長大な製品であったが、低価格なPCサーバーの台頭により、2000年以降はオフィスにも設置されることが多くなった。特にスモールビジネス市場でのサーバーのオフィス設置率は約半分にものぼっているという調査もある。

 とはいえ、日本のオフィスは賃料が高く、概して狭い。これに対してNECの濱岡真由氏は、「日本のオフィスの設置環境は決して恵まれているとは言えないので、とにかく小さく、できればPCくらいまで小さくという要望がありました」と語る。また、サーバーがオフィスに置かれるようになったことで、動作音も課題となってきた。「サーバーの音に作業を煩わされたくないという声も大きかった。特に図書館や病院などでは静音というニーズが根強くありました」(濱岡氏)。

NEC プラットフォームビジネス本部 プラットフォーム 商品企画グループの濱岡真由氏

 こうしたニーズから2004年に誕生したのが、PC並の設置面積を実現したスリムサーバーと、静音のニーズを満たす水冷サーバーだ。当初は異なるニーズのために作られた両ラインナップだったが、2008年に両者を統合。「今まで別々で捉えていたニーズが意外と近いことに気がつき、コンパクトで、静かな水冷スリムサーバーが生まれました」とのこと。現在も日本のオフィスに最適なサーバーとして、Express5800シリーズを代表する製品となっている。さっそく製品のポイントについて見ていこう。

今回はオフィスに最適なExpress5800の水冷スリムサーバーにフォーカス!

ポイント1 とにかくコンパクト

 ポイントの1つ目は、とにかく設置面積が小さいこと。同社の一般的なタワー型サーバー(Express5800/T110e-M)に比べて、なんと容積で75%減、設置スペースで70%減。幅も約半分なので、まさにあらゆるところに置けるのが特徴だ。「初代から筐体の大きさを変えず、どれだけ無理なく部品を押し込むかを追求してきました。筐体や部品も小さいので、生産工程まで考えて設計しています」とは濱岡氏の弁。

省スペースを追求したコンパクト筐体はPCと見間違うほど

 実際、さまざまなところに置けるよう、防塵フィルターやラックへのコンバージョンキットもオプションで用意されている。2台併設でもスペースをとらないスタビライザーが装備されているほか、デスクトップPCのように横置きも可能になっている。

ポイント2 動作音が小さい

 ポイントの2つ目はやはり動作音の小ささだ。通常のサーバーでは、図書館や静かな事務所程度に相当する40~50dB台だが、水冷スリムサーバーはささやき声程度の30dB台を実現。これであれば、動作音が気になる人も少ないだろう。

ささやき声程度の30dB台を実現!その秘密は独自の冷却ユニット

 この秘密は一番の熱源であるCPUを、風切り音のうるさいファンを用いずに冷却できる点だ。NEC独自の水冷式冷却ユニットでは、CPUの熱を冷却効率の高い冷却液でラジエータまで運び、低速回転のファンで排熱する。5年間メンテナンスフリーなのに加え、ファンが少ないため、ホコリを巻き上げず、衛生面でも優れている。

ポイント3 性能も拡張性もあきらめない

 ポイントの3つ目は、コンパクトと静音という要件を満たしつつ、性能や拡張性という点でも優れている点だ。

 当初は省スペースを最優先するあまり、メモリが2枚しかささらなかったり、デスクトップ用のCPUを用いており、性能や拡張性という点で弱点があった。しかし、最新モデルでは4コアのXeonプロセッサーや最大32GBのメモリを搭載可能になった。2.5インチドライブの採用や水冷式冷却ユニットの小型化により、今では6台のHDD/SSDを内蔵できるほか、3.5インチのバックアップ装置も利用できるようになっている。「サイズを変えないで、もっと高速なCPUを搭載して欲しい、ディスクを積んで欲しいというニーズに応え続けています」とのことで、今後の顧客の要望に応えるべく開発を続けるそうだ。

水冷スリムサーバーはこんな人が買い!

 こうした水冷スリムサーバーの用途としては、やはり小規模オフィスでのファイルサーバーであろう。「よく使われているのは、病院や診療所、薬局など、静けさと清潔さが求められるところ。とはいえ、最近は通常のオフィスはもちろん、学校や店舗のレジ横などいろいろなところに置かれていますね」(濱岡氏)。高速CPUや大容量メモリの搭載により、今後は仮想化のような用途でも用いられることになるはずだ。

 こんなポイントを持つ水冷スリムサーバーだが、とにかくオフィスにサーバーを設置したい人であれば、最初に検討したい商品。省スペース、静音を極めつつ、サーバーとしての性能や拡張性に優れた水冷スリムサーバー。単なる低価格なサーバーに比べて、高い価値を提供できるNECならではの逸品といえる。

■関連サイト

カテゴリートップへ