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真空よりも低い屈折率ということは、通過する光の速度が真空中の光速度を超える(理屈上)

レンズが光を超える? 理研が低屈折率の三次元メタマテリアルを開発

2014年10月27日 17時19分更新

文● 行正和義

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開発された三次元メタマテリアルの構造と電子顕微鏡写真  

 理化学研究所は10月24日、真空より低い屈折率を持つ三次元メタマテリアルを開発したと発表した。光の限界を超えるレンズなどに応用できる可能性を持つ。

 メタマテリアルは光の波長に近いサイズの微細構造を作り込むことにより、光との相互作用により通常の物質とは異なる光学特性を持たせた物質。新たに開発した物質は、テラヘルツ帯の波長において真空(1.0)よりも低い0.35という屈折率を持つ。

三次元メタマテリアルの加工法。半導体のように電子線とエッチングで加工し、シリコンを取り除くと配線が立体形状に立ち上がる

 微細構造は基板上に電子線で描画したパターンに真空蒸着させたニッケルと金のリボン構造で、エッチング処理によりリボンの両端が浮いてリング状の共振アンテナ素子として機能し、テラヘルツ帯の光と相互作用する。

メタマテリアルの屈折率の周波数依存性(赤線は実数部、青線は虚数部。虚数部は物質の吸収に対応し、透明な物質ならば虚数部は実質ゼロとなる)

 これまでのメタマテリアルは一方からの光のみ応答するような指向性があったのに対し、新たに開発した構造はリボンが縦横斜めに配置されているためどの角度から入射した光でも同じように応答する等方性を持つのが特徴。また、金属の自己組織化を活用することで(個々の部品を形作らなくてもよく)メタマテリアルとしては最大級の数mm角という面積を製作可能となった。

 屈折率は真空が1.0であり、水(1.333)やガラス(1.4~2.0)など通常の物質は1よりも大きい。これに対して1よりも小さな屈折率を持つ物質は、真空との界面での屈折角度がマイナスとなる。また、屈折率は物質を通過する光の速度によるため、メタマテリアルを通過する光は見かけ上光速度が3倍となる。

 理研では、光の限界を超える解像力を持つレンズや、光の進行方向を自在に変える光学迷彩のような技術、さらには光の位相速度を大きく変化させ光通信に応用するといったことが可能になるとしている。

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