佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第8回
佐武宇綺の“良い音”を探す旅 ~アニメの音響を知る
「良い音という評価は複雑」 ソードアート・オンラインIIの岩浪音響監督 (5/5)
2014年11月12日 17時00分更新
マニアックにもっと知りたい人のために“キャッチアップ”
── メディアの制約で音域に制限があったり、再生環境に応じた音量差を考慮したりする場合も多いと思いますが、その注意点は?
岩浪 ダイナミックレンジの取り方もそうですが、まずは音域ですよね。偏った音域を作らない。細かいことを言っちゃうと、圧縮に弱い音があるんです。そこは使わない。特にネット配信がすぐメインに来るような作品では重要です。
── ブルーレイの発売はテレビ放送から時間を置くことが多いですが、ソースはブルーレイ用に作ったものをテレビ用にコンバートすることが多いのでしょうか?
岩浪 そうですね。ダビングしたデータはそのままブルーレイ、DVDのマスタリングに回すんですけど。その前に、ラウドネスというテストで決められた機械を通して「ここまでに抑えなさいよ」と言われます。そこでコンプレッサーをかけて、ある程度調整したものをオンエアバージョンとして別途納品するのが一般的です。
── 作業時間が増えますね。
岩浪 いや、そうでもないですね。ラウドネスの規格ができる前もそういう作業をしてきたので。ただ、規格化する以前は、放送局の技術者の目分量というか、裁量で判断するケースが多かったので。番組とCMの音量差などが問題になっていました。デジタルの時代になると、フルビットで音量を突っ込んでくることもできるので、格差が広がった面もあります。
── アニメの音は、ほんの数年前と比べても格段に進化している印象があります。何が一番大きく変わってるんでしょう?
岩浪 ユーザーの環境もハイエンドの方はより良くなってますし、ハイレゾも話題となり、ロースペックの機器でもハイエンドの音響を楽しみやすくなってきました。ブルーレイ/DVDを買って楽しむ、ハイエンドユーザーが聞いても良い音と感じられるよう、差別化も意識しています。
── ユーザー側の環境がリッチになっているから、ダイナミックレンジを少し広く取っても問題がないなどと考えるのでしょうか。『ソードアート・オンラインII』などでは、たまに無音になったときの間が良かったりしますが。
岩浪 そうですね。最近はその辺を意識してレンジはなるべく広めに取るようにはしてますね。アナログ時代とは違って、無音は、完全な無音として表現できますし。レンジの取り方でより落差を感じさせて、視聴者をドラマチックな気分に誘うこともできます。僕が最近手がけている作品でも、極端な音量差のある演出が増えている気がします。ただこれは世界的にも、実写含めて多い演出ですね。
── アニメの世界はすべて人の手で作り出さなければなりません。作品の世界を音で表現する上で、一番重視することを教えてください。
岩浪 やはり作品ごとに求められるものが違うので。音響監督といっても、まずは映像ありきなんですよね。伝えたいことは映像の中に表現してあるので、その映像言語みたいなものをいかに読み取って音に変換するかです。時には音によってそれを強調する。さらに言えば、画を作っている人が思ってもみなかったような音作りをできれば良いなとは思ってます。
佐武宇綺(さたけ うき)
1992年3月8日生まれ、東京都出身。パフォーマンスガールズユニット「9nine」のメンバー。ラジオ日本「佐武宇綺の宇宙を綺麗にするラジオ」(毎週火曜24:30~)のパーソナリティーとして出演中。声優としてテレビアニメ「スペース☆ダンディ」のQT役、「それでも世界は美しい」の女官・ミキア役を務めるなど、マルチに活躍中だ。
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タイトル:『9nine WONDER LIVE in SUNPLAZA』
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『9nine MAGICAL TOUR 2014 COUNTDOWN』
12月31日(水)神奈川:神奈川県民ホール
チケット受付等の詳細はコチラへ
9nineオフィシャルサイト
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そのほか詳細はファンクラブサイトへ
http://www.9nine-fan.net/
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