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4万円がリーズナブルに感じる音質

DAC内蔵ソニー「MDR-1ADAC」はヘッドフォンの未来を感じる

2014年10月25日 12時00分更新

文● 四本淑三

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4万円弱がリーズナブルと思える音質

 通常のヘッドフォン同様、内蔵アンプをオフにして、ステレオミニプラグをつなげばアナログ接続もできます。しかしアナログ接続と比較した場合、音のバランスはUSB接続が圧倒的に良いです。ボトムレンジの存在感や、聴感上の歪み、解像度やレンジの広さなどは相当なものです。

アナログ接続用のステレオミニ端子はフタを開けて使う必要があって、少々見た目が良くありません。端子が若干奥に引っ込んでいるため、プラグを深く刺し混む格好になります。付属以外のケーブルを使う場合は、プラグの形状によっては合わないこともあります

 これは再生機器とUSBでダイレクトにデジタルで接続しているから、というだけではなく、アンプも含めてヘッドフォンの特性に最適化されているのでしょう。一般的なヘッドフォンアンプとの組み合わせでは成り立たないチューニングかもしれません。

 現在のソニーのコンシューマー向け密閉型ヘッドフォンとしては、トップレンジの「MDR-Z7」に次ぐポジションの製品で、絶対的な価格こそ安いとは言えません。が、音質とのバランスを考えると、相当にリーズナブルな製品ではないかと感じました。

ヘッドフォンの未来はWi-Fi接続?

 この製品のニュースリリースを読んで以降、ずっと気になっていたのが、どんなUSBケーブルが付いてくるのかということでした。製品に付属するのは、PCと接続するための一般的なmicroUSBケーブルと、ウォークマン用、Xperia用、そしてiOS機器用のLightningケーブルの計4本です。

iOS機器向けのLightningケーブルも付属します

Xperia用の付属ケーブルもヘッドフォン側は同様の形状です

 いずれも一般的なヘッドフォンケーブルのような柔軟性はなく、USBケーブルそのものの質感で折れ目が目立ちます。また、これは長期間使ってみないと何とも言えませんが、コネクターの付け根の部分でケーブルが断線しないかどうかが心配です。

 だから別のケーブルに交換したいという方もいらっしゃるでしょう。ピンが刺さる格好のウォークマン/Xperia/iOS用端子も、接点自体はmicroUSBです。ここにピンのない普通のmicroUSBケーブルを挿し、PCと接続しても問題なく再生できます。

 だから再生機器側の端子に適合したmicroUSBケーブルさえあれば使えるはずですが、そもそもヘッドフォンのようなウェラブル機器で使われることを考慮した、気の利いたUSBケーブルというものが見当たらないのが残念なところです。

 いっそ帯域幅の広いWi-Fi接続にして、ケーブルレスにしてしまったほうが良いのではと思えます。DAC内蔵でこれだけ軽く音質の良い物が作れるなら、当然そうした可能性もあるでしょう。そこにヘッドフォンの未来を感じました。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ


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