法人向けタブレットで実現する生産性の向上
ビジネスという観点でマイクロソフトが提供できる価値は、OECDにおいて長らく生産性最下位となっている日本において「生産性を向上」させることだ。マイクロソフトは、PCによる業務改善やOfficeなどのツール提供、データベース、インターネットとクラウドなどの分野で企業のビジネスに寄与してきたほか、航空機のチェックインやATMなどの組み込み機器の世界でもプラットフォームを提供してきた。
こうした中、昨今は生産性や効率の向上、働き方の多様化、顧客サービスの向上などを実現する法人向けタブレットが非常に大きな拡大を遂げており、アップルやグーグルと共に、マイクロソフトも市場を牽引する存在になっているという。
実際の事例も披露された。たとえば、コンビニエンスストアチェーンのローソンはコンパーチブルタイプのPCを1500台導入し、フランチャイズの経営指導を行なうSV(スーパーバイザー)に配布。「競合のタブレットを使ったが、他の業務に使えない、基幹システムにつながらない、セキュリティの懸念もあるなどで、結局Windowsタブレットに戻した」(樋口氏)という。
また、中外製薬ではMRが持ち歩いていたiPadとPCをコンパーチブル型のWindows PC1台に統合し、デバイス自体のコストや管理負荷、通信費などを大きく引き下げた。さらに、三井住友銀行は営業店の窓口に20インチの4Kタブレットを3700台導入し、高精細な画面で預金や投信信託、マーケット情報などを顧客に説明。樋口氏は、「日本企業はA3の資料にまとめることが多い。20インチの4Kタブレットがあれば、A3もペーパーレス化できるのではないか」とメリットを分析した。
以降、樋口氏はOffice 365やDynamicCRM、PowerBIなどのビジネスアプリケーション、新しい働き方の提案やテレワークへの取り組み、Windows Server 2003のサポート切れとその移行、そしてクラウドに向けた同社の投資やコミットメントなどを次々と紹介。特に同社が力を入れるAzureに関しては、1千億円以上の投資を行なうことで、AWSの2倍、Googleの5倍となる17箇所でAzureデータセンターリージョンを展開しているとアピール。日本でも年間で198%という成長を遂げているほか、2月に開設した東日本と西日本でデータセンターはともに増設に至っているという。
1時間40分におよんだ基調講演では、エバンジェリストの西脇資哲氏によるデモンストレーションや小田急電鉄や伊藤忠商事の事例ビデオ、マイクロソフトのクラウドを全面採用する楽天のCTOの講演などを挟みながら、新しいマイクロソフトの姿勢やソリューションを積極的にアピールした。