Waveのエコシステムで活躍の場を得たアピリオの例
Waveには、アクセンチュアやデロイト・デジタル、インフォマティカをはじめとする30社以上のパートナーがいるが、なかでもアピリオは、Go To Marketパートナーの1社として、すでにWaveに関して6つのパイロットプログラムに取り組んでいるという。Dreamforce 2014の基調講演で、ベニオフCEOが紹介した健康管理を行なう「Fitbit」を活用したソリューションもアピリオによるものだ。
アピリオ日本法人の藤田純社長は、「クラウド時代、モバイル時代において、ゼロから作り上げたアナリティクスプラットフォームがWaveであり、その点でも、これまでのアナリティクスとは異なる。また、アナリティクスの民主化を推進するツールにもなり、これを多くの人が利用できるようになる。そして、セールスフォースのクラウドサービスに最適化したアナリティクスツールという点でも期待できる」とする。
それに加えて、アピリオにとっては、「Waveが登場したことで、topcoderの技術者が活躍できる場が、新たに創出されたという点も大きな要素」だと語る。アピリオでは、クラウドソーシングの「topcoder」を展開。ここには70万人の技術者が登録している。そのうち約20万人がデータサイエンティストであり、Waveによって、これらのデータサイエンティストが活躍する場が生まれたというわけだ。
「日本においても数多くのデータサイエンティストが登録されており、Waveの登場は、コミュニティの活性化にも寄与することになる」とする。また、全世界7万人のアプリケーション開発者にとっても、Waveは新たな活躍の場を生むことになると期待する。Dreamforce 2014の展示会場でもtopcoderのブースが設置され、オンラインを含めて、会期中に新たに1万人以上が新たに登録したという。
パートナーや技術者にとっても、ビジネスチャンスが広がるプラットフォームと位置づけられよう。
意思決定にもっとも危険な場所は「オフィス?」
Dreamforce 2014では、Waveを活用した先行事例が発表された。舶や電車、飛行機といった大型輸送機の製造企業に対して資金を提供しているGE Capitalや、コカコーラのドイツ法人では、Waveとモバイルデバイスを利用し、移動中や現場での分析を実現しているという。
スマートフォンの画面に表示されているダッシュボードから、自分の事業の状態、顧客の業績、見込客の様子などの必要な情報を確認。さらにインタラクティブな環境を実現し、最新のデータに更新することができるのが特徴で、これまでデスクトップだけで利用されていたアナリティクスツールを、モバイル環境に持ち出すことができる様子を示してみせた。
コカコーラドイツのCEOであるウルリック・ネハマー(Ulrik Nehammer)氏は、「もはや意思決定にもっとも危険な場所はオフィスだといえる。顧客がいるところ、サプライヤーや社員がいる場所で、迅速に、重要な意思決定をしなくてはならない。これが新たなビジネスのやり方である」と語り、「いまは、大きな企業が強いのではなく、高速な企業が強い」と、モバイルによるアナリティクスが武器になることを示す。
こうした新たなビジネスの仕方を生み出すのが、Waveということになりそうだ。Waveは新たな意思決定の世界を実現するツールといえるのかもしれない。