「Parallels Desktop 10 for Mac」といえば、OS X Yosemiteに対応したパラレルスの最新仮想化ソフトだ。最大16CPU、最大64GBメモリーに対応し、iCloud Drive、iMessages、SMSのテキストメッセージなどをゲストOSのWindowsと共有可能なほか、Spotlight、FinderのQuickLookも利用できるようになる。
今回、パラレルス創業者のひとりでクロスプラットフォームビジネスを統括するジャック・ズバレフ氏(Jack Zubarev)、Parallels Desktopなど仮想化製品開発を担当するニック・ドブロボルスキー氏(Nick Dobrovolskiy)が来日し、戦略説明会を開催したので、そのポイントをお伝えしよう。
ジャック・ズバレフ氏は、Parallels Desktop成功の要因は3点あるとし、そのひとつ目に「コヒーレンス」(Coherence)機能に代表するゲストOSとホストOSの統合・融合によるシームレスな体験を挙げた。コヒーレンス機能は、ゲストOSのデスクトップを非表示にしてアプリケーションのウィンドウだけをホストOS上に表示するもので、例えばWindowsソフトをMac用ネイティブソフトのように操作できるようになる。
次に挙げた点がパフォーマンス重視だ。バージョンアップのたびにチューニングを重ね、競合製品よりも高速でネイティブで動作させている状態に近づけるよう努力してきたという。Parallels Desktop 10 for Macでは、Windows上でドキュメントを開くスピードを最大48%高速化したほか、バッテリー持続時間が最大30%延長、仮想マシンでのMacのメモリー使用率が最大10%低下などを実現。ゲストOS上のOffice 2013の起動が最大50%高速化している(標準設定の新規仮想マシンにおいて)。
3点目が、使い勝手の向上だ。ユーザーエクスペリエンスや使い始めやすさに注力してきたとしている。例えば、ゲストOSのインストール用ウィザードが用意されており、画面の指示に従うだけで初心者でも利用できるよう配慮されている。
デスクトップOSとモバイルOSを
シームレスにつなぐ「Parallels Access」
Parallels Desktopの開発を始めた当初は、OS XとWindowsを中心に考えていれば済んだが、現在ではモバイルOSのiOS/Android、さまざまな形状デザイン/サイズの端末が登場し、対応する必要が出てきた。
3年前、パラレルスがデスクトップOSとモバイルOSの統合を考え始め生まれたのが「Parallels Mobile」で、その後継が「Parallels Access」となる。デスクトップOSとモバイルOSをシームレスにつなぐべく、Parallels Accessのバージョンアップを重ね、従来のiPadに加えてiPhone/Androidもサポートした「Parallels Access 2.0」をこの6月にリリースした。利用ユーザーの割合は、iPad/iPhone/Androidで3分の1ずつとなっているそうだ。
「Parallels Access」の次の課題は?
ズバレフ氏によれば、次の課題として考えているのは“ファイル”だという。「Parallels Access」の将来バージョンでは、ユーザーのローカル環境やクラウド上にあるファイルに対して、モバイル機器上からシームレスにアクセスできるようにしたいと話していた。一貫性、統一性を持った環境を実現したいとのことだ。