「新型iPad」&「5K iMac」の詳細記事まとめ 第20回
iPad Air 2:小さく見えて大きな進化 - Touch IDが、画質が、性能が新たな門を切り開く
2014年10月22日 10時01分更新
画質、カメラ、そして処理速度が向上
入念に磨き上げられた「iPad Air 2」
iPad Air 2は、Touch IDの搭載に加えて、さまざまな点で洗練が進んでいる。十分にスリムだったiPad Airから、さらに18%薄い6.1mmになった。重量も437gでiPad mini 3と約100gしか変わらない。それでいて画面のサイズはほぼ2倍だ。例えば電子書籍を読むとき、iPad mini 3だとだいたい大きめの漫画単行本1ページ分と同じくらいのサイズでの表示となる。これに対してiPad Air 2では2ページ分、いわゆる見開きのサイズになり快適な読書が楽しめる。
新開発の液晶ディスプレイが実現した、見やすさ、美しさ
そして、画面の表示の美しさだ。この点はiPad共通の特徴いえるが、iPad Air 2は、見やすさも美しさも際立っている。
従来、iPadの液晶は画像を表示するLCD面と、指での操作に反応するタッチセンサー面、そしてそれを覆って保護するカバーガラス面の3層からなり、それぞれの間に薄い空気の層があった。
だが、アップルはiPad Air 2の開発にあたり、これらをひとつに統合する技術を開発。これにより液晶部分だけでも1.5mm近く薄くしたようだ。また空気の層がなくなったということは3層構造内での内部反射もなくなり、光の減衰も減った。そして、その上で反射防止コーティング。画面の上から光を当てると紫色の光を放ちながら反射するので、AR(Anti-Reflection)コーティング。液晶テレビやiMacでも使われている黒が引き締まるというコーティング処理が施され、画面の美しさにも磨きがかかっている(これは写真で見せても、その写真を表示するディスプレイの性能に依存してしまうので、ぜひ店頭で自分の目で確認してほしい)。
もし、旧iPad Airと両方が展示されているようなら、消したディスプレイをiPhoneの懐中電灯機能を使って照らしてみよう。反射光の色の違いを確認できるはずだ。
iPad Air 2のカメラ機能が創造性を刺激する
iPad Air 2で、もっとも進化が著しいのがカメラ機能だ。残念ながらまだフラッシュ/ビデオライトの機能はついておらず、レンズもf2.4とiPhone 6シリーズのf2.2と比べわずかに暗めだが、画素数が800万画素に追いつき、iPhone 5s相当のスローモーション撮影も可能になり、iOS 8の新機能でタイムラプス撮影もできるようになった。片手中心でパチリと日常をスナップするiPhoneと違って、両手でしっかりとホールドして、大画面で最終映像を確認しながら一瞬を切り取るように撮影するiPadでの撮影体験は、iPhoneとはまた少し違った創造性を刺激する。
薄さ、軽さ、ディスプレイの美しさ、そしてカメラ性能の向上。何か余計な新機能を追加して製品に特定の色をつけ、製品の発展性を狭めるのではなく、あえて汎用性のない余計な機能の追加を避けて基本性能だけをアップしてくる。実にアップル的な製品の更新の仕方だ。
劇的に高速化した新たな64bitプロセッサー、「A8X」
そして基本性能向上というと、もうひとつ忘れてはならないのが本体の処理性能そのものの向上だ。
アップルは、今回、このiPad Air 2のためだけに新たな64bitプロセッサー、「A8X」を開発。その処理性能は定番ベンチマークソフト「GeekBench 3」のスコアで前モデルの170%近く(コアひとつの比較では120%)。
気がつけば、iPhone 6シリーズがいつの間にか初代iPad Airの性能をわずかに抜き、サイズの大きなiPadとして立場のない状況を作っていたが、iPad Air 2がiPhone 6 Plusを抜き返した形だ。
実際、iPad Air 2を使っていてスピードに不満を感じることはない。これは逆に言えば、iPadの本来の性能を引き出そうとしているアプリが少ないことかもしれない。今、おそらくiPad Air 2のCPUパワーやグラフィック性能をもっとも引き出してくれるのはApp Storeの「METAL対応」コーナーに並ぶゲームアプリだろうが、これらでもiPad Air 2の性能をフルに活かしているかというと、とてもそうは思えない。
開発者の方にはぜひがんばってもらって、ベンチマークソフト以外のiPad Air 2の限界を引き出すアプリを開発してほしい。
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