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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第52回

著者になるためのプロセスとは

2014年10月24日 09時00分更新

文● 前田知洋

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人間の読解能力が文字直しを難しくする

 例えば、ひらがなで少し読みにくいかもしれませんが、下の文をご覧ください。

「しうゅかん アキスー の きじ は ためにっなて おもろしいです。」

 人間の読解能力が優れているせいで、文字の並びが正確でなくてもサラリと読んでしまいます。さらに、自分が書いたような、コンテキスト(文脈)を理解している文は、タイプミスを見つけにくい。そんな理由から、筆者は2つのタイプの文字校正をしています。

2段階の文字校正

  • 文章の意味をつかまず、誤字だけを拾って読んでいく。
  • 論理構成(起承転結)がおかしくないか、主張の流れをチェックする。

 編集者によっては、誤字を見つけるために音読、つまり「声に出して読んで誤字を拾っていく」なんていう人もいます。2つ目の論理構成では、漢字の誤変換や使い方の間違い「初めて」→「始めて」、「変わり」→「替わり」などを修正していきます。これには、大人の事情の微妙な使い分け「子供」→「子ども」なども含まれます。

 でも誤字脱字、見つけて修正しても、ドラクエのモンスターのように次々に現れるんですよね。きっと、どこかに妖怪「ゴジダツジ スライム」とかが隠れている感じです(笑)。

最後は段落の整形

 デザイナーがレイアウトなどを決めると、一行の文字数なども決まります。テキストエディタでは横書きだった文が縦書きにレイアウトされると、何となく印象が変わります。縦書きでも横書きでも、改行して一文字だけが飛び出すとみっともないので、表現を変えて押し込んだりします。

すべてを編集者に任せるも良し。しかし…

 上の作業、すべてを編集者に任せることもできます。しかし、大切なことは自分の書いた文章や写真がどんなプロセスを経て本になるのかを知っておくことです。そうすれば、印刷され、書店に並んだあとに、「こんなはずじゃなかった…」なんて確率がぐんと減ります。それが7冊の本を出版して、筆者が学んだこと。エラそうで、ごめん。

 この記事が出る頃には、書店にも並んでいると思いますので、ぜひお手にとって写真の印刷の具合などを合わせてご覧いただければ幸いです。新刊の特設サイトも作りました。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 2.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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