序盤は抜きつ抜かれつの展開に
スタートドライバーを担当したのは片岡選手。コース幅が広く、直線も長いというレイアウトのため、抜きやすいサーキットではあるが、それは抜かれやすいとも言える。1周目で2台にパスされて8位に落ちてしまう。しかし、その後は抜き返して6位に戻り、28周目にピットインをするまで6位を維持する。シリーズを争っている11号車(GAINER DIXCEL SLS)は、タイヤのマッチングのため、ピットスタートを選択していたがミクZ4より先にピットインし、ポイント圏内まで順位を戻していた。王座奪還のためにも、ここは1点でも多く差を広げておきたい。
タイヤ交換を済ませた谷口選手がピットアウト! 11号車の前に出ることに成功し、アウトラップで若干順位を落としたものの、41周目には6位に戻っていた。ここからレースは若干膠着するが、ペースが落ちてきた0号車(MUGEN CR-Z GT)をオーバーテイクし、トラブルでピットインしたマシンもあったため、4位まで上がる。この時点で、1位・3号車(B-MAX NDDP GT-R)、2位・7号車(Studie BMW Z4)、3位・60号車(TWS LM corsa BMW Z4)、4位・ミクZ4と、上位をBMW Z4が独占していた。
レースも残り数周となったとき、前を走る60号車のペースが落ちてくる。5秒近くあったタイム差もコンマ数秒まで縮んで、Z4同士のテールトゥーノーズが展開。ブレーキが苦しくなってきた60号車は、ここにきて34秒台のベストを更新する谷口選手を抑えることはできず、ついに3位表彰台の座を明け渡す。1位の3号車と2位の7号車もコンマ数秒のバトルを繰り広げており、最終的に3号車を駆るグランツーリスモGTアカデミー出身のルーカス・オルドネスが、BMWワークスドライバーの7号車ヨルグ・ミューラーの猛追を逃げ切り、1位を獲得。2位、7号車、3位、ミクZ4というポディウムになった。
開幕からの2連勝以来、表彰台からは遠ざかっていたが、初開催のタイで今季3度目の表彰台に上ることができた。この結果でシーズンランキングは67ポイントで引き続き1位。2位は58ポイントで11号車と7号車が同点。最終戦を前にチャンピオンの権利を残すのは、ミクZ4、11号車、7号車というドイツ対決になった。2011年からの毎年激闘を繰り広げている最大のライバル・GAINER、昨日の友は今日の敵、今年から別チームとなったStudieと三つ巴のバトルになるとは、レースの神様が書いた筋書きはできすぎだ。
2位以下に9ポイント差で、さらに2位の2チームは一度も優勝していない。このことから、ミクZ4が3位に入れば自動的にチャンピオン、同点でも勝ち星の数でチャンピオン、ミクZ4がノーポイントでも2チームは最低でも3位以上が必須と、ミクZ4は圧倒的に有利ではある。しかし、GAINERは昨年のもてぎで優勝しているし、同じクルマのStudieも何がなんでも優勝を狙ってくるだろう。
チーム力はほぼ拮抗している。決め手となるのは……、そうファンの応援だ。最終戦はぜひツインリンクもてぎ(11月15~16日)で、ミクZ4を後押ししてほしい。
(次ページでは、「レース直後の関係者コメント!」)
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