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事例もテクノロジーも満載!NTT Com Forum 2014 第7回

クラウド活用のヒントと実践のアイデアが満載!

95年スタイルから抜け出せ!コクヨの考える働き方とオフィス

2014年10月14日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3・11をきっかけにクラウド+ICT活用を考えた

 コクヨの場合、3・11の東日本大震災をきっかけに働き方とオフィスの関係を大きく見直すべく、いくつかの実験を行なった。「クラウドがあり、働く人がつながることが、どう影響を与えるかを実際に調べてみた」(鈴木氏)。たとえば、カメラを使ったWeb会議システムを試したり、SNSを活用したり、タブレットでデータを取り出せるようにした。

クラウドでつながるとはどういうことなのか?

 そこで同社が得たクラウド時代のワークスタイルとは、「デスク、会議室、収納庫を持ち歩く」ということ。鈴木氏は、「机の上で作業したい、会議室で会議をしたい、資料や書類を安全に保管したいから、オフィスがある。でも、これらがすべて持ち歩けるのがクラウドワークの本質」と定義する。

「デスク、会議室、収納庫を持ち歩く」のが本質

 この本質から導き出したコクヨの働き方が、「深輪・広縁(しんりん・こうえん)」だ。「深輪」とは、ITを使うことで、オフィスに帰属せずとも社内連携の輪をより深くつながるというコンセプト。「広縁」とは、社外の新しい縁を拡げることで、新しい価値を作っていくというコンセプト。クラウドとICTを組み合わせることで、はじめてこの2つが実現する。「こうなると場所という帰属がなくなるので、ロケーションフリーになる。クラウドワークの一番わかりやすい部分」と語る。

さまざまな実験で得たコクヨの働き方「深輪・広縁(しんりん・こうえん)」

 さらにコクヨでは、Sitter、Traveler、Runner、Walker、Remoterなど行動特性によってワークスタイルを分けており、これに合わせてツールを選定している。ワークスタイルごとに最適なツールを選んで、パフォーマンスを発揮してもらうのが基本だという。

今のオフィスは「4つの要素」があればよい

 こうした深輪・広縁によって、同社ではさまざまなメリットが得られた。Web会議などで顔を見ながら話すことで、合意形成がスピーディになったほか、位置情報やスケジュールを共有することで、複数手段で通信が選べるようになったという。また、あわなくてもブレストができる、災害時の自宅待機でも仕事を使えるといったメリットもあるほか、「上司とWebミーティングする際は、たまに呑みながらざっくばらんに話せる」(鈴木氏)という。

呑みながらざっくばらんに上司と話すのもあり

 鈴木氏は、実際に所沢にいる同僚をiPadから呼び出し、深輪・広縁の働き方について現場の意見を聞いてみた。

 「若い人は利用も速いが、50歳台以上はなかなか大変だった」と語る鈴木氏は、こうした新しい働き方の導入には効果の可視化が不可欠と指摘する。コクヨでは深輪・広縁の導入による改善効果も見える化しており、マネージャー同士の会話が増えたり、出張の回数が減ったり、紙の使用量が減ると行ったさまざまなメリットが得られたという。

 一方で、オフィスはどうあるべきか? オフィスは時代背景や企業のトレンド、働き方によって変化を続けているが、現在のオフィスは4つの要素があればよいという。帰属意識を高める「居心地のよい作業場」、顧客との接点になる「握手して語る場」、あえて苦言を呈し人を育てる「厳しく育てる場」、みんながホワイトボードなどを共有する「壁を見て共に考える場」の4つだ。

コクヨファニチャーが描くオフィスの未来像

 こうした機能を持たせたコクヨのオフィスは「霞ヶ関ライブオフィス“NEXT OFFICE”として、法人を対象に事前予約での見学を受け付けているという。

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