このページの本文へ

個性的なデザインに高音質を詰め込んだ注目機種

生々しい声と自然な空間、「HD-DAC1」の秀逸な音を聴く

2014年10月11日 17時00分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

過去のアンプ開発で発想を得た思想を盛り込む

 技術的なポイントとしては、アンプに求められる2つの役割(正確な「信号の増幅」と「ドライバーの駆動」)を前段と後段で完全に分離した点が挙げられる。ヘッドフォンアンプであってもアンプはアンプであり、スピーカー駆動用に培ったノウハウを盛り込んだという。

ヘッドフォンアンプ部分。

 前段はマランツ独自のHDAM SA2を用いた電流帰還型回路。ここで入力した信号の電圧を増幅する。さまざまなインピーダンスのヘッドフォンに対応するため、ゲインは3段階の調整が可能となっている。後段は無帰還型のバッファーアンプで、増幅はせずドライバーの駆動に徹している。“バッファー”は緩衝回路などと訳されるが、このような構成としたひとつの目的は、ヘッドフォンのドライバーからの逆起電力が前段に干渉し、正確な増幅を阻害しないようにするためだ。

デジタル基板。右下に縦に7個並んだチップがデジタル・アイソレーター。右端のコネクターで接続される以降のアナログ回路とアースをわけ、電気的に分離している。

 従来機で培ったノイズ対策ももちろん継承。デジタル回路とアナログ回路を電気的に分離するデジタル・アイソレーション・システムや、高精度のクロックを44.1kHz系、48kHz系それぞれに向けて2つ搭載したり、二重巻き線を使ったトランスを使用する点などがその例。デジタル回路部分のノイズがアナログ回路に悪影響を及ぼさないよう徹底した対策を施している。ノイズの少なさは、音の沈み込みや静寂感の表現についても有利なはず。本製品の聴きどころのひとつと言えそうだ。

 またこの機種に限らず、無帰還型のアンプはソースの情報を生々しく表現する傾向が強い。一方で美しく整った優美な音色や空間表現の巧みさは、マランツのサウンドの特徴とも言える。その組み合わせで最終的にどのようなサウンドを導き出されるかも大変興味深いところだ。

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中