このページの本文へ

クラウドバックアップ/リカバリ機能を提供「Azure Site Recovery」

マイクロソフト、Azure活用で中堅中小企業にもIT-BCP対策を

2014年10月10日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本マイクロソフトは10月9日、「Microsoft Azure Site Recoveryサービス」の提供開始を発表した。Azureクラウドを利用して低コストにIT-BCP/DR対策を行うサービスで、中堅中小企業層での導入も狙う。国内SIパートナー16社による導入支援ソリューション、国内3社によるAzureバックアップ機能搭載のNAS製品も発表されている。

 Azure Site Recoveryサービス(ASR)は、顧客がオンプレミス(プライマリサイト)に導入したWindows Server上のHyper-V仮想サーバーを、定期的/自動的にAzureクラウド(セカンダリサイト)にバックアップするサービス。OSを含むシステムイメージとデータを丸ごとバックアップするため、障害/災害発生時にはAzure側にフェールオーバーして、短時間でシステムを復旧できる。

Azure Site Recoveryサービス(ASR)の概要。データの差分コピー頻度は30秒/5分/15分ごとから選択可能

 通常運用中は、AzureのバックアップストレージやASRオプションの利用料金だけがかかる(フェールオーバー時はAzureリソースの利用料金が別途必要)。大きなコストをかけてセカンダリサイトの構築/運用をする必要がなくなるため、これまでコストが課題となってIT-BCP/DR対策に着手できなかった中堅中小企業層への浸透も見込まれる。

 料金プランは、通常の月額払い(従量課金)またはEnterprise Agreement(EA)契約があり、VM数とバックアップ容量により変動する。EA顧客の場合、ASRオプションとバックアップストレージがパッケージされており、来年6月末まで月額利用料金を46%割り引くディスカウントキャンペーンが提供されている。

マイクロソフトではASRの導入促進キャンペーンを来年6月末日まで実施

 マイクロソフトでは今回、日本にある2つのリージョン(東日本/西日本)を始め、世界8つのリージョン(アジア、北米、欧州)からASRの提供を開始した。日本では国内リージョンからの提供により、データ保全や通信速度という課題にも対応できるとしている。

日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドビジネス開発部 部長の藤本浩司氏

大塚商会 マーケティング本部 Webサービスプロモーション部 MS Webソリューション課 次長の下條洋永氏

 発表会に出席した日本マイクロソフトの藤本浩司氏は、Windows Server 2003のサポート終了に伴うサーバー移行において、顧客の多くが「サーバー仮想化」「クラウド利用」を重点投資項目と捉えており、その中で「バックアップ/リカバリ」の必要性も強く感じているというIDCの調査結果を紹介した。

 「顧客において仮想化は『大前提』となっている。そして、仮想化に向けた課題について、マイクロソフトとしては支援したいと考えた」「これまで中堅中小企業の顧客が二の足を踏んでいた(バックアップ/リカバリの)部分で、何らかの手をさしのべたいと考え、ASRを提供する」(藤本氏)。

 さらに今回、ASRの導入支援パートナーとして国内16社のSIベンダーが発表された。各社から順次、ASRの導入や運用をサポートするサービスが提供される。

ASRの導入/運用支援サービスが国内16社のパートナーから順次提供される

 パートナーの1社として出席した大塚商会の下條洋永氏は、「ASRは大企業だけでなく、中小企業にとっても、とても重要なサービスになり得ると考えている」と述べた。同社では、ASRの構築代行サービスに続き、年内には運用代行サービスも提供を開始する計画。

 加えて今回の発表では、アイ・オー・データ機器、バッファロー、ロジテックの国内3社から、Azureへのデータバックアップツールを同梱したWindows Storage Server 2012 R2搭載のNASアプライアンスが発売されることもアナウンスされた。これは、NAS上のデータをAzureのBLOBストレージに定期バックアップするもので、BLOBストレージの容量に応じた利用料金がかかる。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード