このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

事例もテクノロジーも満載!NTT Com Forum 2014 第2回

4年目を迎えるGlobal Cloud Visionはいよいよ収穫期へ

SDN導入の新クラウド基盤も披露されたNTT Com Forum

2014年10月10日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

データセンターの建設も目白押し!NFVも強化

 基調講演の後半では、9つの分野(インフラ、ネットワーク、クラウド、カスタマーポータルと統合APIゲートウェイ、汎用アプリケーション、クラウドマイグレーション、セキュリティ、マネージドICT、パートナーシップ)でのサービス強化や今後の展開が説明された。

 まずインフラにおいては、「Nexcenter」ブランドで提供するデータセンターに引き続き投資を継続する。Global Cloud Vision発表直後の2012年度で119拠点、15.5万㎡(サーバールーム)という規模だったが、2014年度以降は計画含め130拠点、25.1万㎡に拡大。このうち海外は国内を上回る14.1万㎡となっている。有馬氏は、「世界で一番大きいエクイニクスが50万㎡と言われているが、やっと半分くらいまで来たという実感。まだまだ投資を続けていきたい」と語る。

 新規開設も目白押しで、2014年度には米国(サクラメント)、中国(上海浦東)がオープンするほか、2015年度にはイギリス(Hemel Hempstead)、香港(フィナンシャル2期棟)、インド(ムンバイ)、タイ(バンコク)などで新データセンターが開設予定。2016年度には、日本でも大阪第5データセンターが開設する予定となっており、まさに引きを切らない状態。講演後のプレスセッションでは、7~8割が埋まっている状態と説明されており、ビジネス的に好調な領域といえる。

開設予定のNexcenter

 ネットワークに関しては、クラウドとの接続料やデータ転送量を不要としたArcstar Universal Oneを中心に、着実に契約数を増やす。2012年度に26万だったVPNの契約数は、2014年度には33.4万件に拡大したという。10月(国内)からは仮想サーバーとVPN接続設定がカスタマーポータルから自動化されることになり、ユーザーの使い勝手はますます向上しそうだ。

 ネットワークでの注目は、やはり先日発表されたArcstar Universal Oneのオプションとして提供されるNFVサービスだろう。買収したVirtelaの技術を用いることで、拠点間にファイアウォールやWAN高速化装置を置くことなく、クラウド型サービスとして利用できる。会場ではドラッグ&ドロップで仮想アプライアンスを導入するデモも披露された。GUIは英語だったが、日本でサービスインする12月には日本語化されて提供されるという。

ドラッグ&ドロップで仮想アプライアンスをオンにできるNFVサービス

 基幹システムにも対応する「Bizホスティング Enterprise Cloud」と低廉な「Bizホスティング Cloud(n)」の2本柱で提供されているクラウドサービスに関しては、顧客数が7500まで拡大した。2015年にかけてはBizホスティング Enterprise Cloudのサービス拠点も13カ国/地域、16拠点に拡大。複数拠点の仮想サーバーを1つのカスタマーポータルから管理運用できるフェデレーション機能や、SDNを介して異なるデータセンター間を同一ネットワークセグメントでつなぐハイブリッドサービスも提供される。

クラウドサービスも年末までに7500へ拡大

 さらにセキュリティの分野においては、通信事業者としてのノウハウを活かしたDDoS攻撃の防御も2015年3月に開始予定。独自開発の検知装置で、悪意のある通信をNTTコミュニケーションズのIPバックボーンの手前で検知し、顧客のサービスやネットワークを守るという。会場ではセキュリティの脅威を検知する「WideAngleマネージドセキュリティサービス」の適用事例も披露され、市販製品で検知困難な重篤なセキュリティの脅威を検知できたという。

 その他、主要13サービスの故障情報や設定変更を一元的に行なえるビジネスポータルの提供や顧客やパートナーによるシステム連携を促進する統合APIゲートウェイ、200名規模にまで増員されたクラウドマイグレーションサービスなど、幅広いトピックが披露された。

故障情報や設定変更を一元的に行なえるビジネスポータル

システム連携を促進する統合APIゲートウェイ

幅広いサーバータイプをSDNでつなぐ新クラウド基盤

 そして、今回の基調講演のハイライトは、最後に披露された次世代クラウドのコンセプトだ。2015年の下期に投入予定となっている新クラウドサービスは、昨今高まるハイブリッドクラウドのニーズに応えるもの。コスト効果の高い共有タイプ、性能の高い専有タイプ、さらにはベアメタルと呼ばれる物理サーバまでを1つのサービスとして一体的に管理できるという。有馬氏は、「共有のために処理能力を食うので、もっとサーバーの処理能力を上げたいというお客様の声を受け構築した。主要なハイパーバイザーは全部使えるようにしたい」と語る。

次世代クラウド基盤のコンセプト

 特徴的なのは、クラウド内のネットワークにおいても柔軟な構成変更を可能にするSDNを導入したところ。異なるタイプのサーバー間を自由にセグメント設定し、単一のシステム基盤として利用できるほか、サーバータイプを変更しても同一のストレージをそのまま利用することも可能になるという。

 また、APIに関しては、サーバー、ストレージ、SDNを一体的にコントロールできる統合APIのほか、専有タイプにおいて各ベンダーが提供する個別APIも用意する。システム環境にあわせて、最適なAPIを選択し、シームレスな連携を実現する。そして新クラウド基盤のみならず、既存のクラウドやコロケーション、さらには他社クラウドに至るまで統合管理できるポータルも用意され、ICTシステム全体の監視や保守が実現される。

 グローバルへの積極展開、クラウド分野の機能強化などNTT Comサイドでの前のめりな取り組みが目立っていた昨年に比べ、今年はエンタープライズの事例もアピールされ、クラウドプロバイダーとしての実績が確実についてきたという印象を受けた。物理・仮想までを包含する幅広いレイヤーのコンピュート、同社の得意とするSDN、統合管理ポータルなどを組み合わせ、幕の内弁当のように仕立て上げた新クラウド基盤の構想も興味深い内容だった。なお、イベントは10月10日も行なわれる。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事