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Samsung、第3四半期の業績予測で営業利益6割減の見通し

2014年10月08日 18時20分更新

文● 末岡洋子

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 Samsungは10月7日、2014年第3四半期(2014年7~9月)の業績ガイダンスを発表、営業利益は前年同期からの約60%の減少を見込む。ライバルのAppleが最新の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」で過去最大の販売台数を報告する中で、Samsungのモバイル事業の減速が鮮明になった。

 Samsungによると、第3四半期の連結売上高は47兆ウォン(約4兆7360億円)、営業利益は4兆1000億ウォン(約4130億円)になる見込みという。それぞれ前年同期と比較すると20%減、60%減となり、減収減益となりそうだ。営業利益はBloombergが集計したアナリストの予想値である5兆2000億ウォンを大きく下回っている。

 Samsungは同社最大の事業であるモバイル事業について、「厳しい競合環境の中でスマートフォンの出荷台数は微増した」としながらも、積極的なプロモーションを展開するにあたってのマーケティングコストがかさんだこと、ハイエンドモデルの出荷比率が減ったことや旧機種の値下げにより平均販売価格(ASP)が下がったことなどから、営業利益は減少したと報告している。

 Samsungはフラッグシップの「GALAXY S5」を4月に発売開始し、大型画面の「GALAXUY Note 4」の発売は間もなくだ。つまり、今年の第3四半期は大型ローンチがなかったことも一因といえそうだ。

 業績と同様、Samsungのシェアもこの1年で縮小している。IDCの調査では2013年第2四半期には32.3%だったシェアは、直近の2014年第2四半期では25.2%となり、販売台数は3.9%減少している。一方でHuawei、Lenovoなどの中国勢はシェアを伸ばしており、Xiaomiは中国市場でSamsungを上回ったことが報告されている。たとえばHuaweiは2014年第2四半期、前年同期比95%増という成長を遂げている。

 Samsungは価格競争を避けるべく、ハイエンド機能の強化と多角化を図っている。たとえば、GALAXY Note 4ではFacebook傘下のVR(バーチャルリアリティ)ヘッドセットメーカーOculus VRとのコラボレーションを通じて新しい用途を提示する。端末側ではスマートフォン/ファブレット、タブレットに加えて、スマートウォッチで市場確立を図っているところだが、9月にAppleが「Apple Watch」を発表している。

 一方で、数年がかりで注力してきたプラットフォームとサービスについては大きな進化を示していない。スマートウォッチで採用したことがあるオープンソースのOS「Tizen」については、ロシアで初のスマートフォンを発売する予定だったが延期している。

 苦しい状態は同じAndroidベンダーのHTCも同じだ。10月3日にHTCが発表した第3四半期の業績報告によると、6億台湾ドル(約21億円)の純利益を計上し黒字転換を果たしたもののの、多くはコスト削減によるものだ。HTCやソニーなどスマートフォン市場の早期リーダー的存在だったベンダー各社が、中国ベンダーを相手に苦戦していることが伺える。

 なお、Samsungは正式な決算報告を10月後半に行なうことになっている。

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