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TechCon 基調講演レポート Vol.1

ARMは「mbed」プラットフォームでIoT時代を実現させる

2014年10月05日 15時00分更新

文● 塩田紳二

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 ARM社は、米国サンタクララ市で開発者向けのイベント「ARM TechCon 2014」を開催した。基調講演では、IoTプラットフォーム「mbed」が紹介され、IoT用のOSである「mbed OS」やIoTデバイスを管理する「mbed Device Server」などが発表された。

ARM mbedはCortex-Mシリーズ用のIoTデバイスプラットフォーム。mbed OSと開発ツールそしてmbed Device Serverが主要な3つの技術

mbed OSとmbed Device Serverは対になり、IoTデバイスとクラウド側でそれぞれ動作する。なお、mbed OSは無料だが、mbed Device Serverは商業利用ではライセンス契約が必要となるようだ

ARMを用いた組み込み機器プラットフォームを発表
OSもセットで用意される

 初日の基調講演を行なったのはARM社CTO(Chief Technology Officer)のMike Muller氏。同氏は、ARMプロセッサ用の新しいパフォーマンス制御技術IPA(Intelligent Power Allocation)を解説した。IPAは、SoCダイやパッケージ表面温度を監視し温度状態を把握、プロセッサに対するパフォーマンス要求に対して、SoC温度が許容量を超えない範囲でパフォーマンス割り当てを行なう。これにより、従来のやり方よりも性能が向上するという。

ARMプロセッサの新しいパフォーマンス制御技術IPAは、温度状態とプロセッサへのパフォーマンス要求を見て各コアの電圧、動作周波数を制御して動作効率を上げる。従来よりも限界温度ぎりぎりで動作できる

 その後、Muller氏は、IoT向けプラットフォーム「ARM mbed」の説明に入った。IoTとは、マイクロプロセッサを応用した製品のうち、通信機能を持ちインターネット接続や、インターネットに接続可能なスマートフォンやタブレット、PCなどと通信が可能な「組み込み機器」をいう。

 ARM社は、おもに組み込みを想定した用途に対してCortex-Mシリーズという製品を持っている。Mシリーズには、0.1mm四方という極小のCortex-M0から、高性能なM7まで6種のプロセッサコアを持っている。半導体メーカーは、このコア設計を利用して現在さまざまなSoCが製造されている(ARM社はプロセッサコアの設計をライセンスするだけで半導体チップは製造しない)。

ARM社は、TechCon直前にCortx-M7プロセッサを発表。従来の最上位プロセッサのCortex-M4の2倍の性能を持つ

 もともと、ARM社のプロセッサの多くは、組み込み機器に使われており、今回のmbedは、同社のプロセッサによるIoT開発を容易にするものだ。具体的には、mbedは、以下の3つの要素から構成されている。

mbed OS
mbed Device Server
mbed tools

 mbed OSは、さまざまな通信機能を持つIoT用のOSだ。最小のCortex-M0から動作でき、必要なモジュールのみを組み合わせて構成することができる。

ARM mbedのパートナー。半導体メーカーや機器メーカーに加え、クラウドパートナーとして通信事業者などが参加している

低リソース環境でも動作するOSを用意することで
開発コストが抑えられる

 一般に通信のプログラムは、相手がさまざまな機器となるために開発に時間とコストがかかる。このため、一般的にはOSが持っている機能を利用するが普通だ。組み込み機器ではOSを使わず、必要な機能をアプリケーションに組み込んで製品化することもあったが、最近では、通信の必要性などからLinuxを利用する機器も増えてきた。

 しかし、LinuxはもともとPC用のオペレーティングシステムであるため、比較的大規模となるテレビやレコーダーのような家電製品では利用できても、小さな組み込み機器や安価な玩具などには利用できなかった。そもそも、これらで使われるプロセッサがLinuxを動作させるには性能やメモリが不足していたからである。

 mbed OSは、こうした機器でも動作できるように作ってあり、Cortex-Mシリーズに最適化されている。このmbed OSを使うことで、システムの起動、初期化、通信、暗号化やセキュリティといった処理をOS側で処理できるようになるため、IoT機器の製造メーカーでは、必要なソフトウェアのみの開発となり、開発コストの削減や開発期間の短縮が可能になる。

 また、mbed OSが通信デバイスを抽象化するため、開発するソフトウェアは特定の通信ハードウェアを想定する必要がなく、ハードウェアを容易に変更可能というメリットもある。

 一般に組み込み系では、コストのうちソフトウェア開発が占める割合が大きいことが多いため、mbed OSによるコスト削減は、製品全体のコストに少なからず影響を与えることになる。

 mbed Device Serverは、mbed OSと通信を行ない、デバイスの管理やデータ収集などをするもので、おもにクラウドサービス側での利用が想定されているソフトウェアだ。このmbed Device Serverを使うことで、IoT機器とクラウド側のサービスを容易に結びつけることが可能だ。

 また、mbed OSが多彩な通信やJSON(JavaScript Object Notation。テキスト型式でデータを表現する方法の1つ。JavaScriptから読み込みやすいように作られた形式)のようなデータ交換形式などをサポートするため、スマートフォンやPC、タブレットで動作するIoTデバイス用アプリケーション(デバイスアプリ)も標準的なやり方でIoTデバイスと対話が可能になる。

 機器独自のプロトコルやデータ形式などに対応する必要がなくなるため、開発が容易になりやはりコストの低減や開発期間の短縮が想定される。こうしたデバイスアプリは、一般に無料で配布されることが多く、機器の販売でコストを回収する必要があるため、やはりコストの低減にはメリットがある。

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