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最大18コア、“Haswell-EP”世代のXeon E5-2600 v3が登場! 第8回

“The Machine”を見据え、サーバーから“Compute”へ

25周年目のHP ProLiant、Gen9はワークロード特化型へ

2014年10月03日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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世代交代にふさわしい大幅な強化を実現

 こうしたコンセプトの元、今回発表された「HP ProLiantサーバー Gen9」の第一弾は、ラックマウント型、タワー型、ブレード型など全8モデル。汎用ビジネス・アプリケーション向けとして、ラックマウント型の「DL160 Gen9」「DL180 Gen9」「DL360 Gen9」「DL380 Gen9」、タワー型の「ML350 Gen9」。

最大144TBの内蔵ストレージ、GPU4枚搭載を可能にするML350 Gen9

 仮想化・クラウド環境向けとして、ブレード型の「BL460c Gen9」、HPCやWebスケールアウト向けとして、8月に発表した「HP Apollo 6000 System」用のサーバートレイ「XL230a Gen9」、「HP Apollo 8000 System」用の「XL730f Gen9」が投入された。全機種で、最新のインテル Xeonプロセッサー E5-2600v3ファミリを採用し、最新のDDR4メモリや独自のPCIeアクセラレータを採用する。

今回発表されたGen9サーバーのラインナップ

 今回のコンセプトであるワークロード最適化のためにGen9に投入されたテクノロジーは、「データセンターのコスト構造を改善」「サービス導入のスピードを加速」「ワークロードに応じた性能の最大化」の大きく3点。以下、橘氏の説明を元にGen9の特徴を説明する。

データセンターのコスト構造を改善

 データセンターのコスト構造を改善するテクノロジーでは、「3倍のCompute容量をより低いTCOで」を謳う。まず電源を25%小型化し、筐体内の拡張性を大きく向上。また、新たに45℃での動作保証(従来は35℃)を実現したことで、冷却コストを削減しつつ、データセンターの空調アセスメントであるASHRAE規格にも準拠するようにした。

データセンターのコスト構造を改善

 さらに、ソフトウェア版の共有ストレージである「HP StoreVirtual VSA」の1TBライセンスを無償バンドルしており、オンボードのツールからデプロイが可能。「1つのサーバー内にサーバーとiSCSIのストレージノードを共存させることができる」(橘氏)とのことで、コストやスペースの大幅削減に寄与する。

 その他、光学ドライブからHDDのような交換を前面ベイで柔軟に行なえる「Removable Media Bay」や、CTOによってシステムボードにRAIDコントローラーやNICを埋め込める「Flexible Smartアレイ」や「FlexibleLOM」などにも対応。ワークロードに応じて、構成を自由に変更できるようになっている。

低価格なDL160 Gen9(左)、I/Oを強化したBL460c Gen9(中央)、Apollo 6000用のXL230a Gen9(右)

サービス導入のスピードを加速

 遠隔操作・管理のみならず、サーバーのデプロイメント、監視や障害通報、ファームウェアのアップデートまで可能な専用チップ「iLO4」を強化。BIOSがUEFIに準拠したほか、スクリプトなどでの管理を容易にするRESTful APIにも新たに対応した。

サービス導入のスピードを加速

 サーバーのデプロイメントや管理・監視、ライフサイクル全体を管理できる「HP OneView」によるITサービスのデリバリ・運用の自動化も推進される。現行バージョンではHP 3PARに対応しているが、将来的にはネットワーク機器の対応も予定。「サーバー、ストレージ、ネットワークなどを統合的に運用管理できるほか、OpenStackやHP Helionのようなクラウド基盤とも連携する」(橘氏)。

ワークロードに応じた性能の最大化

 ワークロードの最適化において、最大の課題となる性能面でのボトルネックを解消する。まずアレイコントローラーの「HP Smartアレイ」では新たに12Gbps SASに対応。Gen8世代の製品と比較し、4.8倍の書き込みIOPSを実現した。データの暗号化のほか、故障前に予兆を関知し、リビルドを開始する「Predictive spare activation」も実装した。

ワークロードの応じた性能の最大化

 また、アクセス頻度に合わせてSSDとHDDでデータを振り分ける「HP SmartCache」では、Gen9でライトキャッシュにも対応。OLTPのワークロードで4倍の処理性能向上を図った。

 さらにFC、Ethernet、iSCSIなどを統合的に扱えるFlexFabric CNAの帯域も、これまでの倍となる20Gbpsに増強し、前世代の4倍の処理性能を実現。VXLANやNVGREのオフロード、RDMA over Ethernetなどの仮想ネットワーク技術にも対応した。

発表会会場で披露された新ラインナップと橘氏、手島氏

 脱スペック競争、自働サーバーを打ち出したHP ProLiant Gen8が登場してから2年しか経ってないが、市場は大きな変化を遂げている。UCSを掲げるシスコのシェア拡大、オラクルのハードウェア製品への注力、IBMのx86サーバー事業の売却、ODMベンダーの台頭のほか、なによりAWSを初めとしたクラウドコンピューティングの存在感がエンタープライズITの市場自体を大きく変革しつつある。こうした最中に登場したGen9では、ある意味クラウド用語ともいえる“Compute”を用いて、サーバーの再定義を推進しているように見える。HPならではのさまざまなテクノロジーを取り込んだGen9サーバーのワークロード重視のコンセプトが、エンタープライズITの世界にどこまで受け入れられるか、今後も注視していきたい。

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