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Oracle OpenWorldで希薄になった「SPARC M10」の存在感

どうなるSPARC?変わりつつあるオラクルと富士通の距離感

2014年10月02日 12時00分更新

文● 大河原克行

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「足が折れるほどジャンプ」する次のSPARC

 富士通にとって、UNIXサーバー事業におけるオラクルとの接点は3つある。

 ひとつは、データベースを中心としたソフトウェア部門。「ここでは、SPARC M10の技術を高く評価してもらっている。緊密な関係はこれまで以上に強化されている」と河部本執行役員常務は語る。

 2つめが半導体を含むハードウェア部門だ。「コンペティションしているように見えるかもしれないが、切磋琢磨しているという表現の方が適切。同じオラクルの建物のなかで、T5やM7の開発部隊と一緒になって仕事をしている。マクロにみればいい関係にある」とする。

会場で展示されたSPARC 64

 そして、3つめは営業部門だ。「オラクルの営業部門やパートナーに対して、SPARC M10のポジショニングに対する理解が浸透してきたと考えている。オラクルの場合には、Engineered Systemによる提案となるが、富士通の場合は、これとは違うところで評価されている。パートナーのソリューションを、SPARC M10の上で展開するといった動きも出始めており、その点での評価がじわじわと高まっている」とする。

 韓国ではオラクルの営業部門と一緒になって、5割以上がSPARC M10に切り替わっているといった例もあるという。「オラクルとの関係は、非常にユニークなもの。この関係は深まっていくことになる」とする。

 富士通は、2015年末には、SPARC M10に搭載している現行のSPARC 64 X+をさらに進化させることを、Oracle OpenWorld 2014 San Francisco 2014の会場で明らかにした。

次世代のSPARC 64のロードマップ

 河部本執行役員常務は、「足が折れるほどのジャンプ」と、その進化を表現してみせる。「世界でプロセッサーは3種類しかない。そのひとつを富士通は15年以上やってきた経験がある。それを富士通の強みとして生かしたい」と語る。

オラクルが推進するクラウド領域に富士通はどうからむ?

 米オラクルは、Oracle OpenWorldにおいて、クラウドに力を注ぐことを強調してみせた。米オラクルのエリソン会長は、「クラウドでナンバーワンを目指す」として宣言する。

 オラクルのクラウドビジネスによる強みは、SaaS、PaaS、IaaSのすべてを提供すること、SaaSでは最大のサービスラインアップを持つこと、既存のオンプレミス型アプリケーションからクラウドへの移行が容易であること、そして、インフラやプラットフォームのすべてを自社の製品で提供している点だ。エリソン会長は、「我々がクラウドで提供するプラットフォームサービスは、我々が提供しているハードウェアとソフトウェアで構成されるものである。パワフルなプラットフォームを持っているからこそ、最先端のクラウドサービスを実現できる。これは他のクラウドプロバイダーにはないことである」と胸を張る。

 高い実績を持つEngineered Systemを活用したクラウドサービスがその基盤にある。そうした意味では、オラクルが推進するクラウド事業領域に対して、富士通はどんな形で絡んでいくことになるのか。そのあたりのパートナーシップがどうなるのかといった点も、今後の両社のパートナーシップの行く末を占うものとして気になるところだ。

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