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業界人の《ことば》から 第111回

日本の家に溶け込む和のテイストにこだわり

Jはジャパンであり上質、パナソニックが狙う目利き世代とは

2014年10月01日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 パナソニック アプライアンス社・高見和徳社長は、Jコンセプトの発表会見で、ひとつのメールを披露した。

 高見社長は「これは、あるご婦人からいただいたメール。涙が出る想いで読ませてもらった」と語る。メールの内容はこうだ。

メールを読み上げる高見社長

 「先日、自宅と実家にある、パナソニックの製品をすべて調べてみました。初めて自分で買ったナショナルのくるくるドライヤー、寮で一人暮らしの時に実家から送ってもらった炊飯器、結婚したときに掃除が苦手だから頑張ろうと意気込んで買った掃除機、そして、子供の運動会に撮影したズーム付きLUMIXなど。ひとつひとつの製品から大切な思い出があふれてきました」

 高見社長は、メールを読み上げたのちに、「家電は、1950年代から進化を続け、私たちの暮らしを支えてきた製品であった。そして、家電は、一人一人の生活に密着した製品であるということを強く感じた。日本のモノづくり力によって、もう一度、こうした製品を出していきたい。私たちは、それに向けて新たな決意をした」

ニッポンの心づかいと美意識をかたちに

 これがJコンセプトの基本的な考え方だ。

 キャッチフレーズは、「ニッポンの心づかいと美意識をかたちに。」

キャッチフレーズ

 「機能とデザインを融合することで、不満を解決でき、置いて、使って、生活が楽しくなる製品にしたい」と高見社長。

 Jコンセプトは、2016年度に500億円、2018年度には1000億円を目指し、家電事業の約1割を占める見込みだ。

 「Jコンセプトは、シニア層にだけ通じるものではない。次の製品にJコンセプトを選んでくれる若い世代もいるだろう。そして、将来的には通常製品にもこの考え方を持ち込みたい。一度、Jコンセプトとして分けるが、この考え方をすべての製品に展開するということも検討していきたい」と語る。

 Jコンセプトは、パナソニックのモノづくりの基礎になるのかもしれない。

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