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可用性や検索性を高めたRiak 2.0もいよいよ登場

エンタープライズでもKVSの波!バショーCEOが語る最新動向

2014年09月24日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ビッグデータや非構造データの利用が拡大すると共に、KVS(Key Value Store)の需要はますます高まっている。分散型データベース/ストレージ製品「Riak」を提供している米バショー・テクノロジーズ(以下、バショー)のCEOのアダム・レイ(Adam Wray)氏に最新動向を聞いた。

クラウドストレージからKVSへとニーズが移る

 2008年設立のバショーは、オープンソースのKVSである「Riak」の開発を手がけるベンダー。共通のエンジンを用いて、商用版のKVSである「Riak Enterprise」と、S3互換のクラウドストレージプラットフォーム「Riak CS(Cloud Storage)」を展開している。2012年にはIDCフロンティアと資本提携を結び、同年にIDCフロンティアはRiak CSベースのオブジェクトストレージサービスをスタートしている。

米バショー・テクノロジーズ CEO アダム・レイ(Adam Wray)氏

 米バショーCEOのアダム・レイ氏は現在の市場動向について、「われわれがフォーカスしているKVSと非構造化データの市場は、30~50億ドル規模で現在、急激に拡大している。弊社の場合、Hadoopではなく、CassandraやMongoDB、Couchbase、DataStaxなどのKVSが競合となっている」と語る。この中で、バショーはデータを戦略的に活用したいエンタープライズにフォーカスしており、オペレーションのスケールアップ、効率性の追求、そしてビッグデータやIoTの活用などを実現しているという。

 クラウドストレージのRiak CSは、AT&T、IDCフロンティア、Pivotal Cloud Foundryなどが採用している。導入の背景としては、対抗となる高い可用性や運用の容易さなどのほか、Amazon S3と高い互換性を持っている点も挙げられる。レイ氏は「Amazon S3は安価なコストをメリットとしている。これに対して、バショーはコストを追求する、あるいは信頼性を追求するなど、サービスプロバイダーにさまざまなオプションを提供している」と語る。パブリッククラウドやプライベートクラウドとの連携も増えており、オーケーストレーションツールが拡充されることで、こうした事例も増えてくると見込む。

 また、KVSであるRiak Enterpriseの事例も増えており、ゲームやソーシャルメディア、医療などでの利用のほか、プライベートクラウド構築で用いられているという。「たとえば、イギリスの国民保険サービス(NHS)ではOracleをRiakにリプレースし、スケーラビリティや信頼性、オペレーションの簡素化を実現した。ユーザー数は8000万人、月でのトランザクションは4億。しかも患者の健康情報など重要な情報が入っている」(レイ氏)とのことで、ミッションクリティカルな用途で用いられつつある。

 こうしたエンタープライズがRiak Enterpriseを採用する理由としては、スケールアウト、運用の効率性、信頼性、迅速性(アジリティ)などが挙げられるという。これに加え、エンタープライズの採用実績が増えてきたことが、他のKVSベンダーとの大きな差別化だ。「分散環境でワークロードをうまく処理し、本番環境でスケールさせるという実績を積んでいる。たとえば、ベストバイのコマースサイトではショッピングカートのプロファイルをRiakに収めているが、需要の増大するホリデーシーズンで高い実績を収めてきた」(レイ氏)とアピールする。フレームワークがかっちり固まっているRDBに比べ、非構造データは需要がまったく異なるため、本番環境で動く実績は特に重要だという。

「分散環境でワークロードをうまく処理し、本番環境でスケールさせるという実績を積んでいる」

最新のRiak 2.0では高可用性や検索性を強化

 さて、先日は最新版の「Riak Enterprise 2.0」がリリースされた。まずApache Solrエンジンにあわせて検索エンジンを再設計し、日本語などの2バイト文字も対象となった。また、CRDT(複製可能な可換データ型)を追加したことで、高可用性と分断耐性、アプリケーション開発の容易さを両立したという。

 さらにユーザーおよびグループの認証・認可の機能を追加し、エンドツーエンドのセキュリティが強化された。より強い整合性を持つレプリケーションを作れる機能も、プレビューとして実装。どれも派手なアップデートとは言い難いが、Riakの強みである可用性と耐障害性を大いに高めているのがポイントだ。

 日本法人のバショー・ジャパンもビジネスを拡大する。現在は、サポートよりも、開発体制を重視しており、本社のコア開発チームとして機能しているのが大きな特徴。日本ではソーシャルゲームでの利用が多かったが、昨今はWebサービスなども含めたHadoopの連携やM2Mでのデータ収集で検討することが増えているという。

 今後の展開については、レイ氏は「検索はもちろんだが、Amazon S3やDynamoDB、OpenStack SwiftとのAPI連携も強化する。また、多様なデータモデル、エンタープライズのニーズを、なるべく1社でカバーできるようにしていく」と説明する。

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