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T教授の「戦略的衝動買い」 第301回

IBM「CrossPad」の再来か!? 「CamiApp S」を衝動買い!

2014年09月24日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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デジタルペンが抱える昔からの課題も……

普段の常時持ち歩きを考えた場合、メモ、ペン込みで480gはギリギリかも

普段の常時持ち歩きを考えた場合、メモ、ペン込みで480gはギリギリかも

 コクヨのCamiApp Sは、クラウド時代に極めてよく考えられた商品だが、個人的にはいくつかの改良要望点も浮かんできている。重量はメモパッドと専用ペン込みで約480gとギリギリ納得できるラインだと思うが、気になるのは、使用時のメモパッドの高さだ。

机上面からの高さが最大時で16.5mmとなる。筆者には筆記感覚のハードルが少し高い

机上面からの高さが最大時で16.5mmとなる。筆者には筆記感覚のハードルが少し高い

 実測したところ、CamiApp Sを置いた机上面からメモ用紙の筆記面までの高さは最大時で16.5mmある。これは右利き、左利きを問わず筆記中にペンを持った手がメモパッドの高さから机上面に落ちた位置で筆記するのに極めて違和感がある。これは15年前のCrossPadも同じ問題を抱えていた。

ごく一般的なボールペンは筆記時にペン先が見える

ごく一般的なボールペンは筆記時にペン先が見える

多くのデジタルペンは太めなので、筆記時にペン先が見えないことが多い

多くのデジタルペンは太めなので、筆記時にペン先が見えないことが多い

斜めから見ると形状の違いが明快だ。筆記時にペン先を見る習慣のない人ならまったく問題ではない

斜めから見ると形状の違いが明快だ。筆記時にペン先を見る習慣のない人ならまったく問題ではない

 そしてもうひとつは、多くの太り気味のデジタルペン共通の宿命とも言える問題だが、無意識のうちにペン先をつい見てしまう筆者のような人間にとっては、紙面に接しているはずのペン先が極めて見えにくく、それに気を取られてしまうと筆記中に疲れを感じてしまうことだ。

 同じくデジタルペンの宿命でもあるが、ペン先の位置を常時センサーに伝えるためのシグナルスイッチを兼ねているペン先の微妙な「カチカチ」というごく微妙な伸縮動作も同様だ。

 筆記面の高さやペン先周辺の視界、メカニカルな構造などの要素がまったく気にならないユーザーもいるが、これが駄目で、便利で世界が広がるはずのデジタルペンを敬遠してしまう多くのユーザーは、筆者の経験では昔も今も多い。

 そして、CrossPadも同様だったが、デジタルペンの開発者は当然のようにOCR機能を搭載したがる習性がある。現在では、印刷物の活字を読み取るOCRは認識率99%を超えるかなり高度なものもあるが、日本語手書き文字のOCRは相変わらずなかなか厳しいのが現状だ。

転送されたデータには画像と共に、タイトルや撮影日、作成日、タグなどが表示される

転送されたデータには画像と共に、タイトルや撮影日、作成日、タグなどが表示される

スクロールした下の方には、筆記された文字のOCR結果が表示される。筆者の悪事はかなり認識率は低そうに思うが、この認識結果をどう使うかはユーザ次第だ

スクロールした下の方には、筆記された文字のOCR結果が表示される。筆者の悪事はかなり認識率は低そうに思うが、この認識結果をどう使うかはユーザ次第だ

 アルファベットではなく、ひらがな、カナ、漢字、英数字を含む日本語のOCRの難しさは欧米のOCRの比ではない。また、OCRの精度はたとえ50%でも99%でも、最終的に100%を目指すことが目的であれば人間による目視検査は避けて通ることができず、変換精度が高いと喜んでもたった1%の誤変換を探し出すことは極めて難しく面倒だ。

 CamiApp Sにも日本語OCR機能サービスがサーバー側で提供されているが、間違っても目視検査をして100%を目指すのではなく、運が良ければキーワード検索の補助になるというくらいに考えることがCamiApp Sをストレスなく有効に活用する一番の方法だろう。

クラウドの時代に適用した初のデジタルペン

 15年前もそしてこれからも、デジタルペンの世界は、各社の新商品がいくつも登場してくる未開拓な夢のあるジャンルだ。もし筆者が100%エンドユーザー的見地に立てば、たとえデジタルペンの世界でもやっぱり“好きなペン”で、“好きな紙”に自由に書きたいと思うだろう。筆者ならビックのボールペンでツバメノートに書きたいと思う。

 しかし実際には、デジタル化、データ化の目的達成のためには、その時点で最適でこなれた、適価の“テクノロジー”と“餅屋”である“大人の事情”で、そうは簡単に問屋はおろしてくれない。

 15年前のIBMとCross共同開発のCrossPad、ぺんてるのAirpen、LiveScribeのWi-Fi Pen“Sky”、NokiaのAnoto Pen……過去すべてのデジタルペンはいづれも同じ矛盾を抱えている。デジタルペンの世界はこれからも長い時間をかけて成長する分野なのだろう。

 しかし、いつかは買おうと思って、完璧な商品が登場するまで待っていても寿命のほうが尽きるかもしれない。CamiApp Sはクラウド時代に適合した最初で最新のデジタルペンであることは間違いない。

 IBMとCrossが手書きのデジタルペンを世に示し、Anotoは携帯電話会社のNOKIAと組んでデジタルペンの便利な使い方を提案し、LiveScribeはデジタルペンにボイスレコーディング技術を融合しWi-Fi無線への拡張を実現した。

 そして、コクヨのCamiApp Sは、EvernoteをはじめDropbox、SugerSync、Googleドライブ、OneDriveなど多くのクラウドサービスとの連携を個人でも簡単に行なえる仕組みを提供した画期的なデジタルペンだ。

 エンドユーザの1人として、筆者ならCamiApp Sのメモパッドタイプが一押しだ! CamiApp Sとスマホでクラウドサービスを活用したワーキングスタイルをいち早く体験できるだろう。

■関連サイト

T教授

今回の衝動買い

アイテム:CamiApp S (メモパッドタイプAndroid版:NST-CAS-PA5)

価格:アマゾンにて約1万7172円で購入


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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