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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」第34回

ゆっくりTRPG、東方卓遊戯、卓ゲm@ster、etc...

ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!?

2014年09月25日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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東方、そして各作品に広がる二次創作TRPG動画

 一方、アイマスと並んでTRPG動画を投稿してきたのが東方です。東方キャラによるTRPGなどの動画には「東方卓遊戯」のタグが付けられます。

 実は「卓ゲm@ster」より以前から東方のキャラによるTRPG紹介動画などもありましたが、投稿数として大きくなるのは2010年頃から。その後も投稿数を伸ばし、2012年には「卓ゲm@ster」の月間投稿数を抜き、2013年ごろにピークを迎え、現在は「卓ゲm@ster」同様に投稿数を減らしています。

 「東方卓遊戯」が盛り上がった時期は「ソード・ワールド2.0」のゲームシステムを使った動画が増え始めた時期と重なっており、「東方卓遊戯」動画の3分の1ほどがこの「ソード・ワールド2.0」を使っています。

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 「東方卓遊戯」の面白い動きとして「東方卓遊偽」があります。「東方卓遊戯」関連の自由参加の動画投稿イベントで、2011年以降過去8回開催、次回は2014年10月31日に開催されます。

「東方卓遊偽」タグの例

 このイベントの面白いところはTRPG動画の形式をとりつつ、実際にそのゲームをする必要もなし、予告だけで内容がなくても可、そもそも実在するTRPGのゲームをやる必要もないというところです。このためTRPG動画のふりをして好き放題自由な動画が投稿されていますが、時折実際にシリーズ化してしまうTRPG動画などもあるようです。

 ちなみに投稿も開催日以降ならいつでもOKというゆるさです。東方らしいお祭りムードのイベントと言えるでしょう。

 「卓ゲm@ster」だけで行なわれていた二次創作のTRPG動画の形式は「東方卓遊戯」に引き継がれ、2011年頃からは「ヘタリア」「カードファイト!ヴァンガード」「魔法少女まどか☆マギカ」「Steins;Gate」などさまざまな作品の二次創作TRPG動画が投稿されるようになっていきます。

 また東方とTRPGのつながりは次の「ゆっくりTRPG」にも続いています。アイマスがTRPG動画の遊び方を作ったのに対し、東方はそれをニコ動全体に定着させていったとも言えるかもしれません。

涙雪氏による動画で、「東方卓遊戯」動画の代表的なシリーズの第1回。幻想入りした「ソードワールド2.0」を拾ったチルノたちが大妖精をゲームマスターにプレイする話。「東方卓遊戯」がよく投稿されるようになった2010年の作品だが、シリーズはなんと現在も投稿が続いており、執筆時で276動画が投稿されている。これは同じシリーズのTRPG動画としてはトップクラスの投稿数である。

ゆっくりとクトゥルフのマリアージュ。ゆっくりTRPG

 「東方卓遊戯」動画の投稿数が300を超えた2012年中頃に突如流行したのが「ゆっくりTRPG」です。

 「ゆっくりTRPG」は第15回で取り上げた「ゆっくり実況プレイ」のTRPG版とも言えるタグで、TRPG動画中のプレイヤーたちの会話をゆっくり(Softalk等)に喋らせるのが特徴です。プレイヤーたちは必ずしも東方やアイマスに縛られませんが、既存のキャラクターのイラストなどをアイコンにすることが多いです。

「ゆっくりTRPG」タグの例

 「ゆっくりTRPG」の動画は2011年頃から投稿されていますが、頻繁に投稿されるようになったのは2012年になってから。以降は劇的に投稿数を増やし、2013年頃には「東方卓遊戯」を抜いてTRPG関係で月間最も多く投稿されるタグとなっています。投稿数の増加は現在も続いており、8月は450件を超える投稿がありました。

 なお「ゆっくりTRPG」動画では「クトゥルフ神話TRPG」が使われることが多く、「ゆっくりTRPG」の3分の2以上の動画が「クトゥルフ神話TRPG」を使ったものです。

 この大きな要因となったのは「ゆっくり達のクトゥルフの呼び声TRPG」と「ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話」の両シリーズでしょう。

 「ゆっくり達のクトゥルフの呼び声TRPG」は2011年3月に投稿された最古の「ゆっくりTRPG」動画でもあり、この形式の動画を確立した元祖と言ってよいでしょう。タイトルどおり「クトゥルフ神話TRPG」(初期は「クトゥルフの呼び声」のタイトルで出版された)を遊んだ動画でもあり、この入門に適してると「クトゥルフ神話TRPG」販売元のTwitterアカウントで紹介されたことも話題になりました。

 2011年のゆっくり実況プレイ動画の優秀作品を投票で選ぶ「ゆっくり実況プレイOF THE YEAR 2011」で1位に選ばれています。

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 また「ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話」シリーズは惜しくも現在はすべて本人により削除されていますが、ストーリー展開などから非常に人気の高かったシリーズで、2013年から作者の朝霧カフカ原作により「水瀬陽夢と本当はこわいクトゥルフ神話」のタイトルで「角川ニコニコエース」にて連載、単行本が全3巻発行されています。

 両シリーズはもともと人気が高かったところに、2012年4月からの「這いよれ! ニャル子さん」のテレビアニメ放送によりクトゥルフ神話人気が急上昇した影響もあり、この時期いまいちマイナーだったTRPG動画ながらゲームカテゴリのランキングの上位に登場しました。これはその後の「ゆっくりTRPG」および「クトゥルフ神話TRPG」動画の投稿急増のきっかけとなったと言えるでしょう。

 以前にも紹介したとおり、「実況プレイ動画」や「ゆっくり実況プレイ」はホラーゲームと相性がよく、ゆっくりの合成音声による平板な声はホラー展開と組み合わさると非常に不気味で、ゆっくりTRPGの独特な魅力を作っています。

 また、TRPG動画はコンピューターゲームの動画と違い音声的な動きは小さく、効果音やBGMは付けられても会話は通常画面で読むしかなかったのですが、「ゆっくりTRPG」ではそこをゆっくりボイスが補うことで、新しいTRPGリプレイのかたちを示したと言えるでしょう。

なんとかかんとか氏による「ゆっくり達のクトゥルフの呼び声TRPG」の初回動画。本文でも紹介したとおり最古の「ゆっくりTRPG」動画で、またTRPG動画のなかで唯一100万再生を超えている動画でもある。

女性人気も高い? 最近のTRPG動画事情

 「ゆっくりTRPG」の投稿は現在も多く、また「卓ゲm@ster」「東方卓遊戯」も継続して投稿されていますが、最近目立つようになってきたのが「黒子の卓ゲリンク」のような新しい層の投稿です。

 「黒子の卓ゲリンク」はやはり「黒子のバスケ」のキャラクターたちがTRPGをプレイする形式の動画です。「黒子のバスケ」の二次創作は過去の連載でも紹介しているとおり女性人気が高く、また若い作者が多い傾向があり、「黒子の卓ゲリンク」の動画の投稿者や視聴者もそれに近い傾向があると思われます。

 このため、どちらかというと男性寄りでプレイヤーの年齢層の高そうなTRPGとは縁遠い印象がありますが、「黒子の卓ゲリンク」は現在、東方・アイマスに次いで二次創作系のTRPG動画が多いものとなっています。

 2011年頃より「卓ゲ系APヘタリア」(ヘタリア)や「イメージ卓リンク」(カードファイト!ヴァンガード)などそうした女性寄りの傾向のTRPG動画は投稿されていましたが、「黒子の卓ゲリンク」は150名以上と特に多数の投稿者が参加しています。同様に最近になって投稿数が増えてきている女性寄りのTRPG動画としてはダンガンロンパの「希望ヶ峰学園卓ゲ部」がありますし、まだ少ないですがハイキュー!!でも「ハイキュー卓ゲリンク」タグの動画があります。

 もともと潜在していたTRPGの女性プレイヤーなどが動画を作っているような側面もあるのでしょうが、若い女性層へのTRPGの普及の点で、ニコニコ動画のTRPG動画が影響してきているのかもしれません。

 その他変わった手法の動画では、TRPGのリプレイをMMDの動画で再現しているものや、ボカロのキャラクターを使ってゆっくりの代わりにVOCALOIDを使ったトークロイドでしゃべらせてる動画などもあります。ゲームの「結月ゆかり実況プレイ」などの人気があるように、VOICEROIDによるTRPG動画もあります(独立したタグはなく、「ゆっくりTRPG」タグで投稿されてることが多い)。逆に実況のように生の声でしゃべるようなTRPG動画はあまり見かけません。

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