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ad:tech tokyo 2014

mana.bo、ベネッセなどから3.3億円調達も「次は2ケタ億円」

2014年09月21日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 2014年9月18日「ad:tech tokyo 2014」(アドテック東京 2014)に、オンライン家庭教師「mana.bo」(マナボ)代表取締役の三橋 克仁社長が登壇。オンライン英会話「レアジョブ」中村 岳COO、リクルートのオンライン予備校サービス「受験サプリ」山口文洋氏らと、デジタル教育ビジネス「edtech」(エドテック)について語った。mana.boは同日にベネッセなどから3社から3.3億円を調達したが、三橋社長は「今の市況が続くなら、次のタイミングで2ケタ億円を入れても大丈夫かなと思っている」と経営に自信を見せる。

 「今の市況が続くんだったら、次のタイミングで2ケタ億円を入れても大丈夫かなと思っている」

 ベネッセ、ニッセイ・キャピタル、三菱UFJキャピタルの3社から3億3000万円の投資を受けた、オンライン家庭教師サービス「mana.bo」三橋克仁社長はそう話し、経営に自信を見せた。


スマートフォン普及で「エドテック」が爆発した

 インターネット教育領域は米国で「edtech」(エドテック)と呼ばれ、カーン・アカデミーなど大手を中心に投資比率が高まっている。2020年にはオンライン:オフラインの授業比率が1:1になるという調査結果もあり、日本も米国を追いかける形でエドテック系のスタートアップが続々とあらわれている状況だ。

 教育に注目が集まっている理由には、スマートフォンやタブレットの普及がある。

 パソコンは高価で、文具や教科書のように生徒と教師が使える道具にはならなかった。オンライン英会話サービス「レアジョブ」の中村岳COOは、オンライン学習先進国の韓国を例に「2002~2003年にはサムスン製のタブレットが行き渡っていた。やはりインフラが爆発の予兆ではないか」と話す。


調達資金はマーケティングと人件費にあてる

 調達した3.3億円の使い道について聞かれた三橋社長は「シンプルに、マーケティングと人件費に使う」と回答。日本の教育市場はオンラインではなく従来型のマーケティングにカネがかかるという。

 「(私塾だけでも)1000~1500億円の宣伝費用がアナログに突っ込まれている」

 一方、レアジョブの中村COOは「(デジタル広告に)月間1000万円くらいかけて、一番いいCPA(顧客1人当たりを獲得するのにかける費用)をかけてやっている」という。教育業界ではクチコミ効果も重要であるとして、「周りが使っているから信頼する。クチコミをうまく広めるのが大事かと思う」とも話した。


大手と競合しないニッチで勝負をかける

 メディア大手のリクルートも動画によるオンライン予備校サービス「受験サプリ」を開始。テレビCMをはじめとしたマス広告に億単位の資金を投じている。巨大な資本力をもとに成長力で競合に先行し、低価格商品を投入して参入障壁を設け、シェアの独占をはかる格好だ。

 mana.bo三橋社長は「今後、学校の代わりになるテクノロジーとして来るのは間違いない。代ゼミや東進が(動画に)行かないのはカニバる(社内で顧客の食い合いになる)から。コンテンツのジレンマでリクルートさんが行くのは正しい」とした上で「うちはそこに行っちゃいけない」とも話した。

 「そこじゃないところはどこかと思ったら、個別指導のチューターの方だった。質問できるような仕組みは必要なはず。動画サービスと連携できるような仕組みを作ることが大事ではないかと」


教育を「箔(はく)重視」から「質重視」に変える

 教育市場は収益性が悪く、他の産業と比べて成長も遅い。成功すればベネッセのように市場の総取りが望めるが、時間・資本・体力が必要になる。mana.boも売り上げは「あるかゼロかで言ったらゼロ」(三橋社長)で、今後は市場の成長トレンドを先導する形で規模を拡大していく必要がある。

 先行きの長い経営を、胆力を持って続けていくには、教育にかける思いが必要だ。

 三橋社長は自身の体験から「高校生で家庭教師をやったときよりも(東京大学)大学院のときの方が(賃金が)高かったことに『気持ち悪いな』と感じた」といい、日本の教育そのものを変えたいという思いがあると話した。

 「学びの中身そのもので評価せず、ラベルや箔にお金を払っている状態。気持ち悪さ、情報の非対称性が残ってしまう。(教育者が)本質的な価値で評価されいてない。何を教えてくれて、どんな価値があるのか。それをつねに考えながら事業を促進していきたい」


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