2014年9月17日、東京・六本木の政策研究大学院大学で開催されたイベント「Start-up Nation-イノベーションと起業で輝く国を目指して-」にKADOKAWA角川歴彦会長が登壇。ドワンゴとの経営統合で目指していく「メガコンテンツパブリッシャー」の具体的な姿を明かした。配信先を限定しないオープン路線をとる。
KADOKAWA取締役 角川歴彦会長 写真:編集部
「この話をするのは初めてだが、コンテンツ事業者のエコシステムをドワンゴとKADOKAWAでやったらいいのではないか、というのが経営統合の目的だった。もともとメガコンテンツパブリッシャーを目指していたので、ドワンゴと一緒になることでその姿に近づくのではないかと」
17日、東京・六本木。KADOKAWA取締役の角川歴彦会長が照れたような表情を浮かべながらスライドを示し、アップルを例にドワンゴ経営統合による戦略を説明した。
アップルの戦略が自社のiTunesプラットホームやデバイスを中心に閉じた「エコシステム1.0」であるとして、コンテンツを中心に据えた「エコシステム2.0」成立を目指す。コンテンツ配信先はKindleでもiTunesでもAndroidでもKoboでも構わない――という形で配信先を限定せず、売り手を多様化させる考えだ。
「(配信先企業は)AmazonでもGoogleでも楽天でもNTTでもKDDIでも構わない。(配信先デバイスは)スマホでもパソコンでもテレビでもいい、という形にできないかと」(角川会長)
コンテンツ配信先の多様化と合わせ、KADOKAWAが作りあげたアナログコンテンツプラットホーム、ドワンゴのコミュニティーの中から生まれてきたデジタルコンテンツプラットホームを融合をはかりたいとも話す。
その上で、ドワンゴのニコニコ動画は「オタク的でサブカルチャー的なコミュニティー」(角川会長)の中に動画コンテンツが生まれており、「ドワンゴはコンテンツを持っていないという指摘は当たらない」とした。
「プラットホームは人・モノ・金・情報が集まらないとプラットホームとは言えないというのが持論だが、ニコニコ動画にはそのすべてが集まっている」
さらに角川会長は、今回の経営統合はIoT(産業構造の高度情報化)時代を見据えた戦略だったとも説明。KADOKAWAのようにインターネット・情報通信に強い企業を経営に取り込むのは、今後あらゆる企業が進んでいくべき道ではないかとして、統合後の経営戦略に自信を見せた。
「すべての企業がネットにつながる時代に入ると、(ICT)技術を持った会社を取り込まなければならない。システムとしてITは持っているが、あくまでも『自分たちの業態は製造業だ』と考えている企業は非常に大きなリスクを持つことになるのではないか」
