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「iPhone 6」&「iOS 8」全力徹底特集! 第17回

日本最大級の腕時計正規販売店のCEOがApple Watchを語る

腕時計の目利きが斬る「Apple Watch」のコト

2014年09月12日 09時00分更新

文● 石田憲孝(ベスト販売代表取締役社長)

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インターフェースは無限大

 マーク・ニューソンとは無関係だが、内部はこれから無限大に発展していく可能性がある。

 時計と定義できない一つの理由がここにある。顔がないのである。中身はいつもアップデートされていく。決まった顔はない。小さな中にいろいろと詰め込んでいくことになるだろうから、どれだけ簡単に使えるかがやはり最も気になる部分である。声で反応するのが一番だが、世の中、かなりうるさくなるだろう。FaceTimeで会話もできるだろうから、モラルの問題もさらに厳しくなりそうである。

 提案としては、外側に関してはタグ・ホイヤー、セイコー、カシオ、シチズン、などいろんな時計会社の参入を促進したらどうなのか? ようするにアップルのインターフェースを提供していくのである。それこそ時計業界にとってはサプライズである。

「時計」とはなんなのか

 時計とは覗いて楽しみ、重さを感じて楽しむものだ。つまり時計は五感で感じるものなのだ。時間を知るためという利便性は、もはや時間に溢れているこの現代社会においてまったく無意味である。つまり時計はそもそも時間を知るものではないのである。

 人に例えれば、人は靴をはき、カバンを使い、服を着て、時計を使う。パソコンや携帯電話は一つで事足りるが、靴やカバンや服はそうではない。時計も時間を知る道具として使っている人には一本でよいだろうが、時計を愛する人間には複数本必要とする。その場合、Apple WatchやG-SHOCKがいくつかのうちの一本になることはあるにしても、すべてになることはまずない。

 もちろんアップル製品ということで多くの方が買うだろう。僕も多分買うだろう。しかし、時計の代わりにはならないというのはそれが理由である。逆に時計は携帯でよいと思ってきた人は、時計として使うことになるだろう。

 今まで時計業界は多くの脅威にさらされてきた。1980年代には日本のクォーツショックで、機械式が一時的に売れなくなった。1993年頃にはSwatch、G-SHOCKが若い世代から大人までを魅了して、腕にアートやガジェットのついたギアを乗せることに目覚めた。そのときのファンたちは、1990年代の後半にはロレックスのブームにより高級時計へと向かっていった。

 また携帯電話の普及が始まった。2000年になるとパネライ、IWC、ブライトリングなどが大きく台頭。この頃は新進ブランドも多々発生し、そのどれもに人々は魅了された。この頃にIKEPODも登場した。

 同時に携帯電話で時間を見ればよい、という人も多く発生し話題となった。2010年にはスマートフォン化もほぼ終わり、時計業界にもソーラーシステムとGPSシステムという未来のシステムが定着した。

 機械式高級時計がこのような新波の続く中でも成長を続けてきた理由は、「時計」が時間を知るためのものではなかったからであり、たくさんのいろんな機能は使うものではなく嗜むものであったためである。


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