月を撮る……その前に注意すべきこと
ここまでで紹介したデジカメで実際に月を撮影してみた。
あいにく天気に恵まれず、すべてを同一の条件では撮れなかったが、大体の感じはつかめると思う。まだ明るい状態から撮影をはじめたが、夕方の月ではリコーのXG-1は中々ピントが合わず撮るまでにかなり苦労した。
パナソニックのFZ70やニコンのP600は若干AFが戸惑うこともあったが、ピントが合わないで撮れない状況になることはなく、キヤノンのEOS Kiss X7はまったく問題なくすんなりとピントが合焦した。
また、夜暗くなってからの条件でもXG-1は中々ピントが合わず苦労した。少なくとも星や月を撮るのが目的ならFZ70かP600を選んだほうがストレスはないだろう。
ニコンのP600にはシーンモードの中に「月」があるので、はじめての撮影の時には利用してみるといいだろう。月モードにすると色を変える機能が有効になり、コマンドダイヤルの操作で赤い月や青い月を撮ることが可能だ。
基本的に、月を撮る際にはプログラムオートかシャッター優先オートで手ブレしないように気をつければいい。明るいうちに撮る時にはあまり問題ないが、暗くなってからだと月だけがとても明るくなるので露出補正の機能が有効になる撮影モードが好ましい。
真っ暗な背景で明るい月を撮ると月が露出オーバーになってしまいがちなので、マイナス補正をかけられるようにしておくと色々と便利だ。
ホワイトバランスは基本的にはオートのままで問題ない。月が輝いているのは太陽の光が当たっているからなので、ホワイトバランス的には太陽光が正解だが、意図的にホワイトバランスを変えて好みの色に仕上げるのもありだろう。
高倍率ズーム機より大きな撮像素子で
トリミングしたほうがキレイに撮れる!
60倍クラスのズームがあれば画面の中に丁度いい感じの大きさに月を入れて撮影することができる。画質的には明るい月とはいえ、明るい時間なら問題ないが、夜に撮ると結構感度を上げる必要性がでてきてしまい、若干ノイジーな仕上がりになってしまう。
しかしながら解像力には十分な性能があり、しっかりとした三脚に備えて撮影すればカメラの手ブレ補正機能も合わさって綺麗な月の写真を撮ることが可能だ。
EOS Kiss X7はダブルズームキットに付属する望遠ズーム(55-250mm)を試用してみたが、35mm判換算で約400mm弱の望遠レンズになり、画面中央部分をだいたいフルHDサイズでトリミングすると丁度いい感じの大きさに収まるようになる。
モニターで100%の大きさで表示して見比べると、小さいながらもやはりAPS-Cサイズのデジイチのほうがグラデーションの描写やシャープさでは優っている点がある。
レンズ一体型のコンデジでは総画素数で約1600万画素前後、ピクセル数で言えば4500×3500前後になる。使用用途にもよるが、PCの壁紙やSNSサービスへの投稿となるとファイルの大きさはフルHDでも十分すぎるので、縮小して表示することになる。
そこで、APS-Cサイズ機の画像の中央部をフルHDサイズにトリミングした画像と、レンズ一体型の画像をフルHDサイズに縮小した画像とで見比べてみると、意外や意外。グラデーションの再現性やディテールの再現性は、中央部をトリミングした100%表示のAPS-Cデジイチのほうが綺麗に感じる。
レンズ一体型のほうは縮小表示させても、やはりグラデーションの再現性や元の解像力に差出てしまう。
とはいっても、2枚を並べてよく見比べてのことなので、1枚だけで見るにはレンズ一体型でも十分に綺麗な写真ではある。手軽さや携帯性を考えると、超望遠撮影をしたい人にはレンズ一体型も魅力だろう。
次回は“食欲の秋”におススメのデジカメ!
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