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プッシュ通知やレビューでアプリをもっと使ってもらう方法 (2/2)

2014年09月18日 13時48分更新

文●池村 修/エキサイト

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レビューが増える「レビュー依頼ダイアログ」の作り方

 ユーザーはアプリをダウンロードするときに、アプリストアのレビューを参考にします。多くのレビューが集まり、高い評価が付けば、新規ユーザーが安心してダウンロードできます

 そこで、アプリをよく使っているコアユーザーに対して、レビューの入力を呼びかける方法が効果的です。コアユーザーはアプリに対してポジティブな意見を持っていることが多いので、その意見をレビューに反映してもらうわけです。

 iOS向けのアプリ「エキサイトニュース」は、リリース後の1年半で、App Storeのレビュー数が158件、★が3.3でした。毎日数万人のアクティブユーザーがいるのに、レビューが158件しかないのはあまりにも少なすぎます。

 そこで、レビューを呼びかけるダイアログをアプリ内に表示し、App Storeへ誘導する仕組みを取り入れました。

レビュー依頼ダイアログ

 レビュー依頼ダイアログの文言は以下のルールで作成しました。

タイトル:Excite Newsの評価のお願い

  • 1行に収めて見栄えを良くする
  • 太字ではっきり伝える

説明:いつもご利用いただきありがとうございます。Excite Newsの評価にご協力下さい。評価は簡単に完了します。ご協力お願いいたします。

  • 感謝の言葉からはじめ、協力のお願い→面倒ではないアピール→締めと簡潔に伝える
  • ユーザーに不快感を与えないようにする

選択ボタン:評価する/あとでする/評価しない

  • 3択にすることで、強制ではないとユーザーに安心感を与える
  • 「評価しない」を太字で目立たせることで、強制ではないことをアピールする

 エキサイトニュースの場合はオーソドックスな文言を採用していますが、アプリによっては顔文字を入れたり、話し言葉を使ったりしてもよいでしょう。

 iOS版のエキサイトニュースはこの仕組みを導入した後、2カ月間で306件のレビューが投稿されました。さらに、★5の評価が58%、★4の評価が30%と、★4以上の高評価が約9割を占めるようになりました。

 レビュー依頼ダイアログは、ダイアログの出現頻度を低くするとレビューが付く速度が落ちますし、頻繁に表示すれば邪魔になります。実際に運用しながら、アプリの特性やユーザーの利用状況を見極め、頻度を調整しましょう。

 また、ダイアログの出現条件を特定の機種やアプリ/OSのバージョンで縛ることで、満足度の高いユーザーの声だけを収集し、旧バージョンのユーザーの更新を促す、といった使い方もできます。

周囲に教えたくなる仕組み=グロースハックを導入する

 プロモーション予算をかけずに、継続的にサービスやアプリを成長させる仕組みを「グロースハック(GrowthHack)」といい、記事や書籍で紹介されています。


参考サイト:
VASILY グロースハックブログ : http://growthhack.vasily.jp/
growth hack japan : http://growthhackjapan.com/

参考書籍:

 エキサイトでは、プロモーション予算がない場合に、アプリのダウンロードを増やすためにはどうしたらよいかを考えました。

  • ユーザー自身による「クチコミ」で広めると信憑性が高いのではないか?
  • コアユーザーがクチコミで広めれば、趣味趣向が似通ったユーザーに届き、アプリのダウンロード率も高いのではないか?
  • コアユーザーなら、アプリのよさを上手く伝えられるのではないか?

 そこで、次のようにコアユーザーを定義し、コアユーザーのみを対象に「友達に勧める」ダイアログを出すことにしました。

<ニュースアプリのコアユーザー>

 ・1日あたりの記事閲覧数が平均以上のユーザーが30記事を読んだとき

 Googleアナリティクスで調べた単月の記事閲覧数を日割りし、1日あたりの平均記事閲覧数を算出。平均より閲覧数が多いユーザーをコアユーザーとし、30本の記事を閲覧した後、下記のようなダイアログを表示します。

 コアユーザーなら6日以内にダイアログが出現する計算になり、1コアユーザーあたりに対して、新規ユーザーのダウンロードが1件以上の効果があると仮説を立てます。

 実装の条件として、友達にお勧めのどれかを実行したら以降は出現しないようにし、キャンセルの場合は記事を30本閲覧した後で再表示するようにしました。

 結果は、「LINEで教える」が0.5%、「キャンセル」が99% と、「コアユーザーがクチコミで広めてくれる」という仮説は成立しませんでした。ただし、コアユーザーの条件やダイアログ文言など、A/Bテストで調整する余地はあります。仮説を立てて改善に取り組むことが重要です。

<ヨガアプリのコアユーザー>

 第6回で紹介したように、ヨガアプリはコンテンツそのものの評価がよかったこと、Twitterでのクチコミが盛んだったため、アプリに満足しているユーザーが多いと確信し、あえてコアユーザーを定めずに「友達に勧める」ダイアログを出すことにしました。

 ヨガアプリは「寝ながら使う」がコンセプトなので、アプリを利用している途中でユーザーが眠ってしまうことがあります。そこで、2つの仮説を立てて検証しました。

仮説1:
 夜にアプリを使い、翌朝スッキリした状態のときに、「友達に勧める」ダイアログを出すと友達に勧めてくれるのではないか?

 しかし、実際に試してみると、この条件でのダイアログの効果はほとんどありませんでした。朝は忙しくダイアログを許可している時間がない、もしくは、端末がスリープモードになっていてダイアログ自体に気がつかない、といった理由が考えられます。このアプリでは、朝にダイアログを出しても効果がないと断定しました。

仮説2:
 アプリを利用した翌日もしくは数日後の夜に「友達に勧める」ダイアログを出すと、友達に勧めてくれる可能性が高いのではないか?

 以下のグラフは、仮説1と2の「友達に勧める」ダイアログ表示回数の推移です。結果には大きな差がありました。

 そこで、仮説2が正しかったと判断し、このグラフをもっと右肩上がりにするべく、ダイアログタイトルや文言のA/Bテストを繰り返し、より「友達へ勧める」率が高い文言を探していきます。下記は、3パターンの文言をA/Bテストした結果です。この場合は文言Cの効果が一番高いと判断できます。

ダイアログ表示数 「はい」の数 「はい」の率 勧めた数 勧めた率(全体)
文言A 1,240 125 10.08% 30 2.42%
文言B 1,140 360 31.58% 28 2.46%
文言C 1,209 287 23.74% 56 4.63%

 文言Cと決まったら、今度は、友達に勧める際にあらかじめセットしている、Facebook、Twitter、LINEやメールなどに実際に送る文言を改善していきます。

OSのアップデートへ対応してユーザーの期待を裏切らない

 アプリ内の改善策の最後に、OSのアップデート対応についての取り組みを紹介しましょう。OSのアップデート対応では、事前にOSのリリース予定日から逆算してスケジュールを立て、開発リソースを確保しておくことが大切です。

 エキサイトニュースアプリの場合、ユーザーの最新OSへの関心度が非常に高いため(第5回を参照)、新機能がアプリに沿うものであれば必ず導入することにしています。たとえば、毎年9月頃に最新機種がリリースされることが多いiOSの場合、毎年下記のようにスケジュールを立てています(日程は例です)。

 ユーザーも新しい機能に期待していますので、期待に応えていく必要があります。常に最新の技術や機能を取り入れ、ユーザーが満足して使い続けたくなるアプリの運用を心がけましょう。

 次回は、お金をかけずにアプリを広めていく広報活動について紹介します。

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