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国産クラウドの雄が進める生き残り作戦とは?

5社目のOEMはビットアイル!ニフティクラウドの大前進

2014年09月05日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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9月4日、ニフティは「ニフティクラウド」のサービス・機能強化を発表し、エンタープライズ対応を進めた。また、ビットアイルとの業務提携を発表し、ニフティクラウドのOEM版をビットアイルに提供すると共に、ビットアイルのデータセンターとのダイレクト接続を実現する。

コスパの高い新サーバータイプ追加!ネットワークも強化

 今回のサービス強化では、従来の20のサーバータイプに加え、コストパフォーマンスを高めた新サーバータイプである「Type-e」を追加した。従来タイプとの違いはパフォーマンスのみで、約1/3~1/2の価格で利用でき、従来タイプへのスケールアップやスケールダウンも可能になっている。その他、24時間365日の電話サポート、自動フェイルオーバー機能(HA機能)などの無料オプションもそのまま利用できる。利用料金は月額2210円~3万8000円、1時間単位の従量課金で4円~66円となる。

新サーバータイプとの違いはパフォーマンスのみ

 また、ネットワーク機能も強化。L2TP/IPsec対応のVPNゲートウェイやLAN間ルーティングやNAT、DHCPなどの機能を持つルーターを提供するほか、複数のVLANを顧客が所持できるようになった。オンプレミスのネットワーク定義をそのままクラウドで再現できるようにしたほか、顧客の環境とクラウドを同一サブネットでつなぐことも可能になった。さらに、24時間365日体制の有人監視サービスも追加。異常を検知した場合は、ニフティクラウドに精通したエンジニアがメールや電話で通知し、サーバー再起動などの一次対応を実施できる。

 そして今回の目玉は、ビットアイルとのクラウド分野での提携だ。ニフティはニフティクラウドのOEM版をビットアイルに提供。10月1日から「ビットアイルクラウド N シリーズ powered by ニフティクラウド」としてビットアイルとして提供される。ニフティクラウドとビットアイルのデータセンターとのダイレクト接続も開始する。

ビットアイルにニフティクラウドをOEM提供。データセンターとのダイレクト接続も実施

性能、エンタープライズ対応、パートナーシップ

 発表会では、ニフティ クラウド事業部長の上野貴也氏がサービスの現状と新サービスの狙いについて語った。

ニフティ クラウド事業部長 上野貴也氏

 2010年に開始したニフティクラウドのユーザー数は4月現在で3000案件を超え、仮想サーバー台数もうなぎ登りで伸びているとのこと。ラインナップに関しても、IaaSのみならず、アプリケーション開発を支援する「C4SA」や「mobile backend」などのPaaS、「ハコクラ」や「EC-Cube Cloud」、さらにはパートナーとの協業による各種ソリューションも充実しているという。

 クラウドファーストの時代が到来し、外資系クラウドが大きく伸張する中、ニフティクラウドでは高い基本性能、エンタープライズ対応、パートナーシップの3つに大きくフォーカスするという。

 まず性能に関しては、「ゲーム事業者様も多いので、夜間のピークにきちんと対応できるよう、性能には大変こだわって作っている」(上野氏)とアピール。99.99%のSLAを持つ可用性に関しても、今年は99.9999%を実現していると説明した。

 また、全体の2/3まで伸張しているエンタープライズ系のニーズに応えるべく、セキュリティやデータ保護、認定取得、サポートなどの機能も着実に強化。今回のようにオンプレミスの物理環境とニフティクラウドを連携させ、ハイブリッドクラウドを実現できるネットワーク強化を施したという。

エンタテインメント系に比べて、エンタープライズ系が大きく伸張

 さらにパートナーシップに関しては、パートナー販売比率がすでに60%以上に達し、ニフティクラウドのソリューションも180以上に拡大していることが明らかにされた。OEM提供も今回のビットアイルで5社目となり、販路の拡大が期待されているという。ニフティ側としては、データセンターを保有するビットアイルとの提携で、ハウジング・ホスティングなどとの連携を深め、顧客の多様なインフラ需要に応えていく。

 ISP事業向けインフラの余剰リソースを外販するという形でスタートしたニフティクラウドも今年で5年目を迎え、ニフティの屋台骨を支えるサービスに成長しつつある。ニフティ代表取締役社長の三竹兼司氏は、「クラウド事業を中心に据え、Webサービス、ISP事業を発展させていく」と全方位でのサービス展開でビジネスを伸張していくと語った。

ニフティ代表取締役社長 三竹兼司氏

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