自動化でさくっと環境構築!カノニカル「Ubuntu OpenStack」
続いてはカノニカルの松本剛典氏が登壇し、「Ubuntu OpenStack」の紹介を行った。Ubuntu 14.04 LTSでは“Icehouse”ベースのOpenStackを提供している。
無償で利用でき、なおかつ有償サポートも受けられるUbuntuは、近年人気の高いLinuxディストリビューションとなっている。スケールアウト型のシステムでよく使われており、「Amazon EC2」で最も利用されるゲストOSになっているほか、大手Webサービスも多く採用している。
そして、OpenStackの世界でもUbuntuの人気は高い。松本氏が示したデータによれば、OpenStackのゲストOSとして約6割を、またホストOS(本番環境)として5割強をUbuntuが占めるという。
OpenStackのホストOSとしてもシェアが高い理由は、Ubuntuが備える2つの自動化ツールによって、OpenStack環境が「さくっと構築」(松本氏)できるからだ。物理サーバー(ベアメタルマシン)のプロビジョニングツールである「MAAS」と、アプリケーションのデプロイメント/スケールアウトツールである「Juju」の2つである。
「管理者がセットアップするのはMAASサーバーだけ。残りのサーバー群には、JujuのGUIを通じてコンポーネントをデプロイしていく」(松本氏)
Jujuを通じて、各サーバーにOpenStackコンポーネントが自動的にダウンロード、インストールされ、サービス間のインテグレーションも自動的に行われる。松本氏は、物理サーバー15台構成のOpenStack環境を30分ほどで構築、ログインするデモビデオを紹介した。「もっと台数スケールが大きくなっても同じ仕組みが使える」(松本氏)。
Jujuを通じて自動実行される、さまざまなアプリケーションのインストール/設定手順を記述したファイルを「Charm」と呼ぶ。Charmの作成には好みのスクリプト言語を使えるため、ユーザーがすでに持っている「Puppet」や「Chef」の資産もCharm化して再利用できる。また、Jujuのフレームワークを介して異なるコンフィグレーションツールどうしを連携することも可能だと、松本氏は説明した。
また、パッケージ&パッチ管理ツール「Landscape」を利用することで、多数のノードを「さくっと運用」(松本氏)できる。全ノードへの一括配布だけでなく、たとえば「コンピューティングノードにのみパッチを適用する」など特定の条件に基づく選択的な配布も可能だ。なお、MAASやJujuとは異なり、このLandscapeはプロプライエタリな(非オープンソースの)製品である。
Ubuntu OpenStackのサポートサイクルは、Ubuntuの長期サポート版(LTS)と合わせ最長5年間となっている。また、24×365の商用サポートサービスを提供しており、Availability Zoneに含まれるノード数に応じた料金体系となっている。松本氏は「たとえば80台構成時の年間サポート料金は、約750万円」だと述べている。
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