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ノベル、レッドハット、カノニカル、ネットワンがそれぞれの強みをアピール

同じ「OpenStack」でもこんなに違う!4社がプレゼンバトル

2014年09月03日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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自動化でさくっと環境構築!カノニカル「Ubuntu OpenStack」

 続いてはカノニカルの松本剛典氏が登壇し、「Ubuntu OpenStack」の紹介を行った。Ubuntu 14.04 LTSでは“Icehouse”ベースのOpenStackを提供している。

 無償で利用でき、なおかつ有償サポートも受けられるUbuntuは、近年人気の高いLinuxディストリビューションとなっている。スケールアウト型のシステムでよく使われており、「Amazon EC2」で最も利用されるゲストOSになっているほか、大手Webサービスも多く採用している。

 そして、OpenStackの世界でもUbuntuの人気は高い。松本氏が示したデータによれば、OpenStackのゲストOSとして約6割を、またホストOS(本番環境)として5割強をUbuntuが占めるという。

カノニカル セールスエンジニア 松本剛典氏

Ubuntu Openstackの構成概要(カノニカル資料より)。ホストOSとしてUbuntu Serverが動作するほか、後述するMAAS、Juju、Landscapeといった構築/運用の自動化ツールを提供している

 OpenStackのホストOSとしてもシェアが高い理由は、Ubuntuが備える2つの自動化ツールによって、OpenStack環境が「さくっと構築」(松本氏)できるからだ。物理サーバー(ベアメタルマシン)のプロビジョニングツールである「MAAS」と、アプリケーションのデプロイメント/スケールアウトツールである「Juju」の2つである。

 「管理者がセットアップするのはMAASサーバーだけ。残りのサーバー群には、JujuのGUIを通じてコンポーネントをデプロイしていく」(松本氏)

MAAS、Jujuを利用するアーキテクチャの例。MAASサーバー(図上部左)が物理サーバーをプロビジョニングし、Jujuサーバー(図上部右)がOpenStackの各コンポーネント(ピンク色のボックス)をデプロイしていく構成

 Jujuを通じて、各サーバーにOpenStackコンポーネントが自動的にダウンロード、インストールされ、サービス間のインテグレーションも自動的に行われる。松本氏は、物理サーバー15台構成のOpenStack環境を30分ほどで構築、ログインするデモビデオを紹介した。「もっと台数スケールが大きくなっても同じ仕組みが使える」(松本氏)。

 Jujuを通じて自動実行される、さまざまなアプリケーションのインストール/設定手順を記述したファイルを「Charm」と呼ぶ。Charmの作成には好みのスクリプト言語を使えるため、ユーザーがすでに持っている「Puppet」や「Chef」の資産もCharm化して再利用できる。また、Jujuのフレームワークを介して異なるコンフィグレーションツールどうしを連携することも可能だと、松本氏は説明した。

 また、パッケージ&パッチ管理ツール「Landscape」を利用することで、多数のノードを「さくっと運用」(松本氏)できる。全ノードへの一括配布だけでなく、たとえば「コンピューティングノードにのみパッチを適用する」など特定の条件に基づく選択的な配布も可能だ。なお、MAASやJujuとは異なり、このLandscapeはプロプライエタリな(非オープンソースの)製品である。

 Ubuntu OpenStackのサポートサイクルは、Ubuntuの長期サポート版(LTS)と合わせ最長5年間となっている。また、24×365の商用サポートサービスを提供しており、Availability Zoneに含まれるノード数に応じた料金体系となっている。松本氏は「たとえば80台構成時の年間サポート料金は、約750万円」だと述べている。

Ubuntu OpenStackのサポートサイクル。バンドルされるUbuntu LTSと合わせ最長5年間で、その間の新しいOpenStackリリースもバックポートされる

(→次ページ、設計/構築から運用までフルサポート!ネットワン「MetaCloud」)

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