RHELやRHEVとの統合管理も!レッドハット「RHEL OSP」
レッドハットの石井明氏は、同社の商用OpenStackディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL-OSP)」を紹介した。RHEL-OSPの最新版は“Icehouse”ベースのバージョン5だ。
石井氏は、「OpenStackを動かすにはホストOSとしてLinuxが必要。RHEL-OSPでは、エンタープライズOSであるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)との統合、最適化を図っている」と説明する。
そしてRHEL-OSPの開発プロセスは、これまでレッドハットがLinux~Fedora~RHELの開発で行ってきたことと似ているという。つまり、多数の開発者がアップストリームプロジェクトに参加して、コミュニティの中でOpenStackそのものを改善し、最新版を無償のディストリビューション(「RDO」)として提供するとともに、さらにそれを安定させてエンタープライズ向け製品としてパッケージ化する、という流れだ。
実際、レッドハットはOpenStack Icehouseにおいて“No.1”の貢献を果たしている(activity.openstack.org集計のコミット件数、クローズチケット数に基づく)。石井氏は、特にバグのクローズ件数が多いことを指摘し、「新機能を追加するだけでなく、より多くの方に安定した高品質のソフトウェアを届けるために多くの投資をしている」ためだと説明する。
他社製品と比較した場合のRHEL-OSPの優位点について、石井氏は「エンタープライズでも安心して使ってもらえる」点を強調する。ホストOS/ゲストOSとなるRHELとの共同エンジニアリング体制をとっているほか、最新版ではサポート期間も3年間に拡張されている。「サポート期間はこれまでのバージョンで半年、1年半と伸びてきた。エンタープライズの顧客からはもう少し長く、5年間のサポートを、という声もある。今後さらに伸びていくだろう」(石井氏)。
また、エンタープライズアプリケーションの性格に応じたプラットフォームを一元的に提供できる点もレッドハットの強みだという。スケールアウト型アプリケーションはIaaSプラットフォームのRHEL-OSPが、旧来のスケールアップ型アプリケーションは仮想化プラットフォームの「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)」が対応し、「Red Hat CloudForms」を通じて一元的に管理できる。
さらにCloudFormsは、物理環境(RHEL)やAWSなどのパブリックIaaSの管理にも対応しており、「4つのプラットフォームを1つのコンソール、1つのポリシーで管理できるため効率が良い」と石井氏は説明した。
加えてレッドハットでは、RHEL-OSPやRHEVのストレージ基盤となる製品も2つ有している。ファイル/オブジェクト向けスケールアウトストレージの「Red Hat Storage Server」と、分散オブジェクト/ブロックストレージの「Inktank Ceph」だ。石井氏によれば、OpenStackユーザーに最も利用されているストレージがCephであり、レッドハットではエンタープライズ向けCeph製品を持つInktankを買収してポートフォリオを拡大している。
「レッドハットでは、OpenStackに特別な機能を実装したり、コミュニティと違う動きをしたりすることはない。必要な機能はコミュニティで開発し、エンタープライズの顧客に提供していく。またOpenStackだけでは実現できないSDNなどの領域では、パートナーとの連携も重視している。エンタープライズの顧客に安心して使っていただける製品を提供していく」(石井氏)
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